X線天文衛星ASTRO-H「ひとみ」の今後の運用について [JAXA]

 また、複数の海外機関からも太陽電池パドルの両翼分離を示唆する情報を得たことから、これらの情報に基づき、今後衛星が機能回復することは期待できない状態にあるとの判断に至りました。

 以上の判断を踏まえ、衛星の復旧に向けた活動は取りやめ、今後、今回の異常に至った原因究明に専念することとし、ASTRO-Hとしての設計/製造/検証/運用の各段階において今回の事態に至った要因を調査し、背後要因も含めた原因を徹底的に究明いたします。

非常に残念な結果です。2月の夕刻、美しい軌跡を残して飛び立ち、新たな叡智をもたらしてくれるという期待と希望を胸に「ひとみ」と名付けられたこの衛星が、わずか1ヶ月でこのような最期を迎えるとはあまりにも胸が痛んで言葉になりません。
パドルが根元から破断したとなるとおそらくバッテリーが枯渇した時点で衛星機能は完全に喪失されていたと思われます。ソフトウェア的な問題でハードウェアを暴走させ結果的に致命的な破壊をもたらすという前代未聞のトラブルです。今後JAXAをあげて原因究明・組織的対策が講じられると思われますが、各国の協力のもと国際的にも期待の高かったこの衛星が失われたことで生じる空白はとても大きいですし、「すざく」の例のようにASTRO-HIIとしてリベンジが行われる可能性も無いことは無いと思いますが、鳴り物入りの大型計画がこのようなトラブルに見舞われたとあってはかなりシビアな対応を迫られることでしょう。もちろん今後予定されている数々の計画に対しても一斉チェックの水平展開は避けられません。
これから宇宙に飛び立つ衛星たちをこのような悲しい目に遭わさぬよう、徹底的に洗い出しを行ってもらいたいと思います。