[WSJ] 「金と政治のブラックホール」になるGalileo計画 [ITmedia]

└(id:black_knight)

米軍が冷戦中に開発し、今も空軍が運用するGPSとは違って、Galileoは複数の民間の企業や政府機関が構築、運用する。Galileoの支持者らは、このため同システムは防衛上の緊急時にもシャットダウンされず、より信頼性が高くなると主張していた。米軍は1983年にGPSを民生利用に開放して以来、信号を遮断したことはない。

だがこうした約束にもかかわらず、Galileoには問題が山積みだ。2005年12月に1基の衛星が打ち上げられただけで、2基目は最終テスト時のショートが原因で、2006年秋という当初の予定に間に合わなかった。現時点では打ち上げは今年に予定されている。この失敗をよそに、EUは2010年末までには30基すべてを軌道上に載せたいとしている。

Galileoシステムの推定開発コストは、1999年の当初の見積もり9億158万ユーロをはるかに超えて急増し、現時点では38億ユーロと予測されている。これは故障防止のためのセキュリティ強化、ソフトのアップグレード、人件費・マーケティング費用の上昇、Galileoの使用する周波数をチェックするために必要な追加のテスト衛星2基のためだとEU関係者は説明してきた。

この推定も楽観的すぎるかもしれない。航空宇宙・防衛産業関連コンサルティング会社で、GalileoGPSにも関わったABI Researchによると、Galileoより規模が小さいGPSシステムの設計、構築、打ち上げコストは約77億ユーロだったからだ。

もう1つ問題がある。民間セクターが資金の大半を提供するという計画はガタガタで、Galileoの民間パートナーは今も、どうやってリターンを得られるかの明確な見通しが立たない中での投資に消極的だ。

日本版GPSと言われた「準天頂衛星」プロジェクトもすったもんだの末にビジネス化がポシャり民間側は手を引き、現在は官側だけでとりあえず1機打ち上げて技術研究を、という流れです。 欧州のガリレオ計画もなんか大変なことになってるんですね。