550億円の陸域観測衛星、誤差やノイズで地図作れず [読売]

見出しがいやらしいなあ。 まあそれは後にして

国土地理院は、この画像データを、基本図の修正・更新の際に使う構想だったが、現地測量を追加しなくてはならないため、約4300面ある日本の基本図のうち完成したのは硫黄島など52面にとどまっている。

基本図は、すべての地図の原本。日本全土は高度6000メートルからの航空写真を使って作製しているが、道路建設など土地変化の情報を随時反映させなければならない。国土地理院はこのため、同衛星が2006年10月に運用を開始してから年間700面のペースで画像を利用する予定だった。

航空写真に比べると、単価が数百〜数十分の1と安い上、航空機を飛ばさなくても定期的に更新画像を撮影できるのが理由だ。

日本の基本図作りの地形データは、誤差5メートル以下という高精度が求められる。しかし、同衛星の画像は、等高線を決める「高さ情報」の誤差の大半が6メートル前後に集中していた。宇宙機構によると、打ち上げ前は誤差5メートル以下を想定していたが、衛星の姿勢制御が完全にはできず、高さ情報に誤差が生じるという。

さらに、画像のノイズがひどいこともわかった。衛星画像は地上送信時に圧縮されるが、撮影した地表面の様子が予想以上に多種多様だったため、元の画像データに戻すことができなかった。宇宙機構は「事前に地上試験を行ったが、見抜けなかった」としている。

同衛星の開発費は約550億円で、政府予算が投入された。姿勢制御については地上から修正を試み、回復の見込みがあるが、画像のノイズ修正には限度があり、同衛星単独での基本図作りは絶望視されている。宇宙機構は「基本図作りの衛星としては初めてだったので、想定外のことが起きてしまった。今回の経験を次号機に生かしたい」としている。

これは残念。 データ圧縮はハードウェア圧縮でしょうか? 非可逆式だとなかなか厳しそうですね。 レート変更とか利かないんでしょうか。 姿勢制御についてはAVNIR2のポインティング動作時とかそういうのが絡んでくるんでしょうかね。 これについては回復の見込みありだそうです。 ちなみに、標高データの誤差やノイズについては1年前からプレスリリースなどで公開されていて、今回初めて分かったというわけではありません。 昨年10月ごろの宇宙開発委員会にて「数値標高モデルの試作検証(国土地理院)については、国土地理院による評価がまだ継続されている」とありますので、多分今回のはこの件でしょうね。
ちなみに、1/25000地図作成の適用評価については実は既にフルサクセスを達成しており、見出しには語弊があります。 また数値標高モデルの試作検証以外にも災害観測や環境監視などミッションは沢山あって、実のところそのほとんど全てでフルサクセス・エクストラサクセスを達成済みであり、また標高誤差6メートルという数字自体は他国の衛星に比べても悪い数値ではありません。 「550億円が…」みたいなこの書き方はまるでミッションが全部パーになったかのような誤解を与えかねないというか一部じゃモロ誤解されてたりしますので、これは正直どうかと思いますね。 しかもこれに「期待外れ」なんて修飾まで加えてこれ見よがしに一面に載っけるという。 最近はマシになったかと思ってましたが、いつまでも1か0でないと気が済まないマスコミって絶えないですね。

地球観測衛星 画像にトラブル(魚拓) [NHK]

宇宙航空機構によりますと、この地図の作製に使うデータは高さについては5メートル以内の誤差が要求されますが、姿勢制御の問題で誤差が6メートル前後になるケースがあるということです。また、圧縮して送られてきたデータを元の画像に戻すと、場所によっては道路と建物の境界線などを見分けることができないということです。宇宙航空機構は「事前のテストでは把握できなかったが、十分に想定できたトラブルだった。プログラムを改良するなどして、できるかぎり予定の精度に近づけたい」と話しています。また、国土地理院は「もともと、だいちのデータだけで地図を作ることを考えていたわけではないが、航空写真を使ったこれまでの方法を一部効率化できると期待していただけに残念だ」と話しています。

今後プログラムの修正により改善が進められるようです。 「だいち」に関してはその有用性から後継機が既に検討されているので、今回の件についても技術的改善がフィードバックされるでしょう。 また、今回は軽微な不具合でしたが、ごく小さなところで致命的なトラブルに発展することもありますので事前想定や設計をより堅牢にして安定したミッションに繋げるよう願います。 ちなみに次期ALOSに関しては(pdf)、光学衛星と合成開口レーダー衛星に分割して2機構成×2ペアにすることが検討されています。