越境汚染を24時間監視、静止衛星開発に着手 [読売]

宇宙航空研究開発機構は、中国など東アジアから国境を越えて飛来する大気汚染物質を常時観測する衛星開発の研究に着手した。

排ガスや工場から出る二酸化窒素、一酸化炭素など汚染物質の発生源を突き止めたり、光化学スモッグの早期警報に役立てたりするのが狙い。24時間監視する静止衛星計画は世界で初めて、早ければ2014年の打ち上げを目指す。

越境汚染には酸性雨、黄砂、光化学スモッグなどがある。特に目やのどの痛みなど健康被害につながる光化学スモッグは、昨年、大分県新潟県で初めて注意報が発令され、発令地域も28都府県と過去最多となった。

光化学スモッグの原因となる、光化学オキシダントの発生が増えたことに、環境省の専門家委員会(座長・海洋研究開発機構の秋元肇プログラムディレクター)は、昨年末、中国など東アジアで排出された汚染物質の流入が一因と推定されると報告書をまとめている。

こうした大気汚染物質の人工衛星による観測は、90年代後半から欧州と米国の周回衛星が実施してきた。しかし、特定地域の観測は、多くて1日1回、時間も限られるため、排出量の時間変化を把握して汚染源を突き止めたり、物質の長距離移動の経路を分析することはできない。

中国などでは地上観測体制が不十分なうえ、韓国などで被害がでた黄砂について、環境省は今年から飛来状況を公表する計画を開始したが、一時中国の協力が得られないなど調整が難航した。

このため、秋元さんら科学者で作る「大気化学研究会」は昨年、アジア全域を24時間監視する静止衛星の研究を始め、2種類のセンサーで排出や移動の様子を2〜10キロ・メートルごとに細かく観測する計画を今年、宇宙機構に提案した。

国内由来の汚染と越境汚染の割合を、都市単位で分析できるという。得られたデータをもとに国際的な枠組みの中で、発生源となる国に規制を求めていく。

宇宙機構では来年初めの温室効果ガス観測技術衛星をはじめ、13年ごろまでに環境観測に関連した4基の打ち上げが決まっている。福田徹・同機構地球観測研究センター長は「次は生活に直結した環境分野の衛星が重要になる。大気汚染監視衛星の計画を今年度中にもs具体化し、実現につなげたい」と話している。

静止軌道に置くあたりこれは気象衛星に近い観測衛星ですね。 中国大陸から飛来する汚染物質を観測するそうです。 中国は防衛機密だ何だと言ってデータ出しませんしね。 これは悪くない研究だと思います。