宇宙へ 植松努の挑戦1:笑われた、でも あきらめなかった。 [毎日]

ハイブリッド推進ロケット「CAMUI」開発者の人。

ロケットの研究・開発は社員の空いた時間に行われた。とはいえ宇宙工学の専門家はいない。辞書を片手に難解な外国の専門書と格闘。実験に失敗して機体が粉々に吹き飛ぶこともあった。だが、誰もあきらめなかった。皆、ロケットづくりが好きだったからだ。

仕事に向かう姿勢にも変化が現れた。「良くも悪くも普通の社員だった」と言う安中は自発的に、宇宙空間を再現する装置「熱真空チャンバー」を考案。そこからヒントを得て、野菜を手軽にフリーズドライできる装置をつくり始めた。いずれも本業とはまったく関係がない。「いろいろと挑戦したいと思うようになった。仕事の幅が広がった」

12月21日に打ち上げられたカムイは6機。すべて成功に終わった。6機目はパラシュートを開きゆっくりと落ちた。すぐに駆け寄り、機体を検証する植松。間近で見守る一般見学者。「いつかこのカムイが宇宙へ届く……」。誰かがつぶやいた。アイヌ民族の言葉で「神」の名をもつロケットに、皆が宇宙の夢を見ていた。

開発を始めてわずか数年ですが、着実に進化を続けていますね。