ニッポン宇宙開発元年――夢とビジネスの狭間で(1) [東洋経済]

H2Aは6号機の失敗の後、これで9回連続して成功。信頼度の指標とされる再打ち上げの保険料は、欧州の最強ロケット「アリアン5」と肩を並べる水準にまで下がった。

三菱重工は02年、H2Aの製造プライム会社となり、一昨年の13号機から、打ち上げを含めH2A事業を丸ごとJAXA宇宙航空研究開発機構)から引き継いだ。では、連続成功は早くも表れた民営化効果だろうか。そうではない。淺田部長によれば、「数」である。

当然、民営化による合理化は進んでいる。従来は、工場と種子島の射場でそれぞれ1回実施していた機体総点検を種子島に絞り、購入品の多重チェックも簡略化した。だが、その節減効果はせいぜい数千万円。

H2Aは、種子島という射場の不利も抱えている。アリアンの射場は赤道上の仏領ギアナだが、種子島から赤道上の静止軌道に乗せるには、28・5度の軌道傾斜度を修正するために、余分の燃料がいる。

三菱重工は半ば開き直っている。「真っ向勝負できない。政府支援がないと生き残れない」と淺田部長は言う。「われわれは、もともと、商業のためにやっているのではない。日本が宇宙に行く自在性、自由度を保持するための運用を任されている。だから(不利でも)種子島から離れない。海外と組むこともありえない」。

だから支援を、である。政府のロケット打ち上げ需要は年1機から4機までブレる。つねに最大4機分の能力を保持せよ、と言うなら、たとえば、国の需要が3機のとき、1機分の商業受注に政府支援があっていい。現に、欧州はアリアンに5年で9・6億ユーロ、1機当たり50億円の補助金を与えているではないか――。

H-IIAの保険料はアリアン5並の水準にまで下がってきているらしい。 戦いは数だよ。 というかやっぱ実績が物を言いますね。 しかし1機当たり50億円の補助金が出ているというのは、本当だったら凄いものですね。