プロジェクトコラム:HTV [JAXA]

HTVは、現在国際宇宙ステーションISS)への国際的な輸送便として位置づけられていますが、スペースシャトルが2010年に退役することがを決まる前までは、ISSでの位置付けは低いものでした。
スペースシャトル退役が決まる頃からNASAのHTVへの真剣度が急速に変わり、技術調整やマネージメント調整が急速に進展しました。スペースシャトル退役後、地球からISSへの食料や荷物を輸送する宇宙船は限られており、欧州や日本に頼らなければならない事情があります。
NASAが今回のHTV技術実証機(初号機)に、船外の実験装置だけでなく食料(900kg程度)も搭載したいと言ってきたのは、補給船としての重要さを表しています。
10年以上前にHTVが始まった頃の、日本の荷物だけの補給船のように思われてNASA交渉を苦労して粘り強くやっていた先輩方の苦労を思うと、現在の表舞台で脚光を浴びてきた状態は隔世の感があります。「絶対成功させるぞ」との緊張感と、技術立国日本の先端技術を世界に見せたいとの思いが混じった状態です。
ISS用の輸送機として厳しい安全要求を満足させた日本製のHTVが、日本製の新型ロケットH-IIBで日本の射場からまもなく打ち上げられます。

なんか裏話。シャトル退役決定後に明らかにHTVの立ち位置が変わってきたそうです。実証機に食料品を搭載したいと言ってきたのもNASAだそうです。地道にやってきて良かったですねえ。