金星探査機「あかつき」と宇宙ヨット実証機「IKAROS」を見てきた [ITmedia]

ナイスレポが来てますよ。

パネルの下にはカメラを5台搭載し、膜が開く様子などを記録する。そのうち1台は膜を開くタイミングで機体から外れ、離れながらイカロスが開く様子や全体像を撮影する。

IKAROSですが、船体に取り付けたもの以外にも分離型のカメラが搭載されていて、セイル展開時に離れながら全体を撮影するそうです。これいいな! てか何だかミネルバみたい。

打ち上げを目前に控えた「あかつき」と「IKAROS」の機体が公開 [MYCOM]

こっちのレポも濃いです。

また、打ち上げまでのスケジュールは、3月17日に種子島宇宙センターに搬入、同30日に打ち上げ前最後となる詳細電気試験の実施、4月に入って2日に地上系まで含めた運用リハーサル、同27日に最後の外観検査、同29日にロケットに取り付けるためのアダプタと探査機の結合作業を実施、5月4日にフェアリング結合を行い、同9日にロケットとフェアリングの結合、そして同18日午前6時44分14秒に打ち上げ(予定)となる。

打ち上げ後は約0.5日後に第1可視、同1.5日後に第2可視、同2,5日後に第3可視を行い、カメラに地球を撮像し、カメラの正常動作などを確認するほか、金星までの航行中は2μmカメラ(IR2)による黄道光の観測が行われる。そして打ち上げから約半年となる12月上旬(5月18日打ち上げで12月5日頃の見込み)に金星周回軌道に投入され、翌2011年1月ころをめどに定常運用が開始される計画となっている。

IKAROSは、帆の一部にa-Siの薄膜太陽電池を貼り付けることで、電力の発電実証も同時に実施することで、将来のより遠い惑星などへの航行時でも、探査機に必要な電力を得ることを目指した「ソーラー電力セイル」の実証機と位置付けられている。
機体サイズは本体が直径1.6m、高さ0.8m程度で打ち上げ時重量は310kg。今も地球を目指して宇宙を航行している「はやぶさ」のメンバーの一部が開発に関与しており、「IKAROSの姿勢制御などについてははやぶさからのインスピレーションもある」(JAXA 宇宙科学研究本部宇宙航行システム研究系の津田雄一助教)ということで、姿勢制御はスピン系を採用している。

膜を展開した後は、約半年かけて金星に向けた航行を行う(金星到達でフルサクセス)こととなるが、その間、ソーラーセイルには太陽光から1円玉の1/10程度の圧力がかかることとなり、その力で加速されるか否かの実証などが行われる予定。

また、姿勢制御デバイスの1つとして用いられる液晶デバイスは国内ガラスメーカーとの共同開発品で、液晶の特性(通電することにより液晶の向きが変わる)を利用することで、表面の反射特性を変えることで、太陽光圧の力をそれぞれの膜の部分で変え、姿勢を変更しようというもの。これだと、通常の気液平衡スラスタの燃料がなくなっても、太陽光さえあれば稼動できるが、「液晶というものが、宇宙でどういった状況になるのかは実は良く分かっていない部分で、そうした意味でも今回の実験は大きな意味がある。予定期間を越えて液晶デバイスが生きていればさまざまな知見も得られる」(津田氏)と期待を覗かせる。

なお、IKAROSは金星到着後は地球と金星の間を楕円軌道で周回することとなり、タイミングがあれば地球にも接近する可能性があるという。

液晶の反射特性で姿勢制御するという発想が面白いですよね。液晶が宇宙空間にむき出しで太陽光線を浴びまくるというのがまず前例無さそうですし、これがどれくらいの耐久性を発揮出来るかで将来の応用性にも期待が高まります。

No.1380 :あかつき報道公開 [宇宙作家クラブニュース掲示板]

宇宙作家クラブからもレポ来てます。肩に乗ってる「あかつき」かわいいw

東京新聞:今回の難しいところは
中村:衛星が金星に入っていく姿勢、金星の軌道投入のためにエンジンを吹くタイミングなど。各国でも火星では半分失敗している。(金星では今のところ成功しているとのこと)

そのスラスタも1基しか積んでませんしね。

:開発期間と予算は
今村:あかつきはずっと前から検討していて、2004年頃から本格的に開始した。
打ち上げ全体で250億円。このうちロケットは100億円くらい。
イカロスは2007年から。20億円以下程度。ただしピギーバック衛星のため打ち上げ費用は含まない。

IKAROS安っ! いくら急造の小型実証機とはいえ。

:セラミックスラスタを採用した利点とは
今村:セラミックスラスタは全て国内生産ができる。将来に向けた投資みたいなもの。
違いはスラスタがセラミックでできていること。
はやぶさは金属だった。従来のものは、海外の工程がある。

SAC山田:半年で成果が出るが、その後は?
森:運行実績がとれる。大きい姿勢制御を試したり、薄膜太陽電池の劣化が判る。他にサイエンスミッションでは塵やガンマ線の観測を行う。

:薄膜太陽電池は通常の衛星のパネル型に対して性能は低いのか。
津田:薄膜太陽電池の効率は5%以下。通常のパネル型は20%以上ある。ただし軽いので重量あたりの発電量は遜色ない。

今後は薄膜太陽電池発電効率アップも課題ですかね。

:遠心力でセイルを保持しつつ、振動が収まる原理は。
津田:膜による構造上の減衰が主。イカロス本体のダンパでも吸収して熱に変えている。
また衛星本体のジャイロや太陽センサなどで検知し、ジェットを吹くこともある。これは他の衛星と同じだが、イカロスは大きな膜面があるので、柔軟性に対応したロジックを組んでいる。

イカロスのセイル展開後のたわみ量は
津田:スピンによる遠心力との釣り合いで決まる。半径10mに対して10センチ程度。遠くから見たなら、ほぼ平面である。
:今回のセイルの折り方・たたみ方の実績はあるか。
津田:イカロスはスピンによる遠心力で展開・保持するが、これは例がない。ロシアなどはブーム(柱)がついている。
今回用意した模型は形を保つためブームがついているが、実機には無い。

:セイル展開時の振動が減衰するまでの時間は?
津田:構造減衰の事前予測は難しい。地球上では重力などの影響があって実験できない。推定で数時間を見ている。液晶制御では力が小さいので衛星本体による減衰がメインとなる。

この辺はとことん初なので一番の勝負所ですね−。

イカロスは太陽に突っ込むか?(神話より)
津田:突っ込みません(笑)。衛星本体の姿勢制御燃料が尽きれば充電できなくなり終わるが、液晶デバイスによる姿勢制御で継続が可能かもしれない。
(※薄膜太陽電池の他に、衛星本体にも通常の太陽電池がある)

誰だこれ聞いたのww
そうか、液晶デバイスでの姿勢制御が上手くいけばかなり長く実験継続できるということなんですね。確か薄膜太陽電池で得られる電力は運用には使わないらしいですが本体の太陽電池パネルで。

:金星についたときイカロスの位置は
津田:軌道速度が遅いので、あかつきより数日遅れると思われる。軌道はほぼ同じ。

当然IKAROSは金星をフライバイするだけですが、モニタカメラで金星を撮ったりできるんでしょうかね。角度とか。

イカロスの英名略語は後付か。
津田:同じ日に決まった。酒の席などでよく決まる。

ISASではよくあること

:セイルの力は
津田:膜を全展開して1AU(天文単位:1AU=地球と太陽の距離)で一円玉の10分の1程度の力が常に働き続ける。0.7AUなら二倍程度。

この辺はたわみ量とかに多少左右されそうですが、今回の実証で定量的な数値が得られそうですね。