宇宙で一番長くてくわしい宙博2010レポート [デイリーポータルZ]

なんとこちらも宙博をレポ。しかもプレスとして。

宇宙農業の研究もしているJAXAのブースではたくさんのカイコたちが桑の葉っぱの上でうねうね。聞いてみると、カイコを育てて繭になったらゆでて糸は取って中身のさなぎは、食べるのだという。

カイコのサナギは揚げちゃえば海老天みたいな味で結構おいしいのだとか。幼虫は食べないんですか?って聞いたら「糸取らないで食べたらもったいないでしょ」との事だった。そうか、もったいないか。

あ、なるほど。ちゃんと絹糸ゲットも考えての事なんですね。

東京工業大学の月面・惑星ローバーブースは砂が敷き詰められていて、3輪や4輪のローバーがデモ走行をしていた。

極端な高温や低温、真空にさらされる宇宙空間ではゴムのタイヤなどは使えないので金属だけどクッションが効くようなタイヤが付いている。大雑把に言うと、内周に板バネを何本も付けたタイヤだ。

うおっ何この三輪ローバーすげえ。これは見たかったなあ…

セガ・トイズのブースにいた「はやぶさちゃん」こと「秋の『』さん」。はやぶさを模した衣装はなんと手作り。細かく聞くとおたまを分解して使っていたり、持ち物や衣装にすべて意味があったり、細部のこだわりがとにかく凄い。

抱いている灰色のぬいぐるみは小惑星イトカワ小惑星のぬいぐるみって初めて見たよ。ナースキャップみたいのはアンテナで、背中にはちゃんとイオンエンジンが付いている。

LEDが入っていて光るし、中和器からは煙(加湿器使ってるそうです)が出てリアリティも完璧。調べてみると有名なコスプレイヤーさんだそうで、宙博自体も出演の検討をしたそうだけど今回はセガ・トイズのブースに出動。

あっちこっちから写真撮影の声がかかるほどの人気ぶり。一緒に取材に行った妻も「かわいー!」なんつって一緒に写真を撮ったりして。悔しいので僕も一緒に記念撮影させてもらいました。

あれってそんなギミック仕込んであるのか! 秋のさん凄いな… あと奥さん便乗自重ww

例えば左の写真は、オーストラリアのウーメラ砂漠ではやぶさのカプセルを回収する様子のパネルなんだけど、顔ハメになっている。

この発想は無かった。ウーメラ気分。

ビンボっちゃまくん状態。

これ前半分だけだったのか! ということはほぼ前半身だけ20kg!? 外したあと重心狂ってすっ転んでしまいそうですね。

宙博2010は会期が3日間しかないのでもともと混みやすいのだが、今回は土曜日に台風が来て、そのせいで予定をズラした人が多かったらしく、特に最終日の日曜日は来場者数が多かった。

発表では3日間の延べ来場者数(再入場含む)は31,627人だけど、その半分が日曜日のもの。そりゃ混むはずだ。

つまり今年のISAS特別公開並みだったという事ですね。それはすごい。あと講演も豪華なゲストの名前がズラリです。何これ行けばよかった…

もっとも席が埋まったのは、はやぶさプロジェクトのプロジェクトマネージャーである川口淳一郎教授の講演「宙から空へ〜『はやぶさ』との歩み〜」。

はやぶさプロジェクトがいかにして発想され、どのようにイトカワに向かったか。どういう困難があり、どのように克服したかという興味深い話を聞けた。しかもプロジェクトマネージャー本人から直に。感激です。

あちこち壊れた挙句通信も出来なくなったときも諦めずに復帰確率を計算し、待ち続けた。地道に命令を送り続けた結果通信は復帰。その後も最後のイオンエンジンが壊れたり、2基のエンジンを接続して動かしたりして地球に帰還、オーストラリアの空に散ったのが2010年6月13日。淡々と解説される川口先生の声と、会場からはすすり泣く声が聞こえた。

帰還後は中和神社へしっかりとお礼参りに行ったらしい。

第一部、川口プロジェクトマネージャーに続いては、吉川准教授によるはやぶさ2の解説。

はやぶさ2では、はやぶさと違ったタイプの小惑星を目指してます。はやぶさがS型と呼ばれる小惑星だったのに対し、2ではC型と呼ばれる、有機物や水を含む小惑星。その小惑星の表面に穴をあけて、地中のより外界の影響を受けていない小惑星物質を採集、持ち帰ることを目指しているそうだ。

まだ予算が確定してないけど、確定すれば計画が本格稼動。2014年に打ち上げ、2020年に帰還することを目標にしています。今度ははやぶさのように不具合は起こらず、ドラマチックな展開はなくてスムーズに帰還するでしょう、と吉川先生は言ってました。

頼もしい言葉です。プロジェクト化に期待。

藤「インターネットのイベントなんですが、去年の8月(2009年8月)に運営会社がインタロップを手放す事になり、私の会社で譲ってもらったのがそもそもの始まりになります。という事は、イベントをやる部隊が味方になったわけです。宙博をやる素が出来たと。」

松「なるほど。」

藤「それでインタロップの様なノリで宇宙をやろうと。せっかくイベントを出来る専門部隊が来たので、なにか燃えるようなテーマはないかという事で宙博をやることになりました。それまでは宇宙への想いだけだったけど、イベントを運営する部隊が味方に来たというのが一番です。」

なるほど。想いとイベント運営能力が結びついての宙博開催だったのだ。それにしても去年の8月ですか。でも確か、宙博2009って12月でしたよね。

藤「あと大事なのは赤字出したら責任を取ると言うことですよ。」

松「赤字なんですか?」

藤「大赤字ですよ去年なんか(笑)。それでもみなさん喜んでくれたんでね。今年は多分赤字幅は減るでしょうね。でもね、今時赤字でもやる、というのが重要なんですよ。」

松「重要ですか。」

藤「やっぱり社会的に意義のあることをするのが重要で、利益は目的じゃないんですよ。経営理念として。ただ、赤字だけじゃ続けられなくなるのでどこかで黒字にはしますよ。」

藤「やってみたら、子供を中心にしたお客さんもそうだけどイベントをする側、研究者の評判も良かったんですよ。ならまたやるかというので、最低10年はやるというのを去年決めました。」

凄い気合を感じますね。来年は是非行きたいな。
あとニセソラちゃんにもインタビューを敢行したようです

松「どうしてニセソラちゃんを始めたんですか?」

ニセ「去年の宙博の時にソラちゃんがツイッターで質問を募集して回答してたのよ。でも宙博が始まったとたんにツイッターでの活動をやめちゃって。これはもったいない!と思ったあたしが勝手に引き継いだわけ。」

松「勝手にですか。」

ニセ「そう勝手に。」

松「ニセソラちゃんは宙博関係者なんですか?」

ニセ「違うとも言えるし関係者とも言えるわね。宇宙規模で考えたら全員関係者じゃない。」

松「うまいことはぐらかされた感じです。」

ニセ「ふふん。」

なんだwww