金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の軌道制御用エンジン(OME)の第2回テスト噴射の結果について [ISAS/JAXA]

結果出ました。

金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の軌道制御用エンジン(OME)の第2回テスト噴射(注1)を9月14日に実施し、取得したデータの解析を進めていたところ、噴射による加速度が、9月7日の第1回テスト噴射時と同様に想定よりも小さな値を示していることが分かりました。
今後の対応については、これまでの2回の試験噴射のデータをふまえて検討していきます。
なお、第2回テスト噴射後の衛星の状態は正常です。

注1:OME噴射状況の再確認等を目的とし、噴射時間は約5秒であった(計画通り)。

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 宇宙機構によると、14日に実施した噴射で、推力が想定の約8分の1しか出ないことを確認。7日の噴射と同じ結果となった。宇宙機構の担当者は「主エンジンが根元から壊れているとしか思えない。主エンジンが使えなければ、予定の軌道には入れない」と話した。

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 15年11月の軌道投入を実現するには、今年11月に約400秒間、エンジンを噴射してあかつきの軌道面を微調整する必要がある。JAXAは「どちらのエンジンを使うかを9月中には決めたい」としている。

 次善の策としてJAXAは、推進力の弱い別のエンジンを使って遠い軌道への投入を検討しているが、1周に要する時間は72倍、金星からの距離も最大10倍と遠い。観測機会は大幅に減り、得られるデータも限られる。

 救いは、観測作業にかかわる探査機の不具合が見つかっていないことだ。JAXAは、新たな条件下でのデータに期待をつなぐ。「限られた観測機会の中で成果を得られるよう、観測計画の変更を考えたい」としている。

うむ、やはりOMEは使えなさそうな感じです…。ということでやはりRCSによる長楕円軌道投入を目指す事になりそうですが、今一度RCSのテストはするのでしょうか。まあこっちは一液式ですから酸化剤リッチとか全然関係ないですし多分健全な状態でしょうが、去年12月の軌道投入マヌーバ時から使ってないですよね。
あとどうでもいいですが共同と毎日の見出し、ミスリードですよね。特に毎日の記事は内容が充実してるだけに惜しい。あれか、デスクか?

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6月に公開された検証資料ではRCSで軌道制御を行う場合、今年11月or来年6月に230〜300m/s相当の近日点マヌーバを実施。その前に酸化剤投棄を行う。これにあたっては気化熱冷却で凍結しないよう秒単位でパルス噴射する必要があるようです。
現在のOMEの推力は定格500Nに対し約300Nあると推定されていたものがより破損が進行したためかその1割ちょい、30N少々しか出ないということでしょうか。RCSは23N級が片面4基搭載されてますので、比推力などを考慮してもこちらの方が遙かに大きな推力が得られそうです。