本日のイカロス君 2011.12.22

12/2307:04:40: 今日の IKAROS(12/22) - Daily Report - Dec 22, 2011 [IKAROS-blog]

日に日に,ビーコンの解読が難しくなっていますが,地球距離,地球角が増大していることが
主な原因となっています.

これとは別の話になりますが,最近,太陽距離,太陽角も増えています.

まず,太陽距離が増加するのは,IKAROSが楕円軌道となっているためで,来年3月に遠日点
(太陽から最も離れた点)を通過するまで続きます.
一方,太陽角の増加は,主に風車効果によって引き起こされました.
IKAROSでは風車効果によって,太陽側から見て時計回りにトルクが加わるため,
時計回りのスピン(逆スピン)時には,スピンの速度が増加します.
スピン速度が小さい場合,太陽光圧トルクによってソーラーセイルは太陽に近い方向を向きます.
しかし,スピン速度が大きくなると,姿勢は変化しにくくなり,いわゆる慣性指向となります.
このため,太陽角が徐々に大きくなっているのです.

太陽角はだいたい1日degずつ増大してますし、ほぼ公転と同期してますね。スピンレートの方は落ち着いてきてますが。

太陽距離,太陽角の増加に伴い,太陽電池の発生電力が減るため,近い将来,停電に至ります.
しかし,上記のメカニズムを考慮すると太陽距離,太陽角は,数か月後に減少に転じます.
これにより,IKAROSは再び必要な電源が確保できるようになり,目覚めるのです.
まるで冬眠ですね.

IKAROSは,すでに通信不可帯を経験していますが,今回は,通信が途切れるだけでなく,
電源が一旦落ちて復活するというプロセスも加わるため,リスクが高くなります.
それでも,数々の困難を乗り越えてきたイカロス君ならばきっと・・

イカロス君が冬眠を経て,前人未到の宇宙ヨットの旅がさらに続いていくのか
大きな大きな挑戦が間もなく始まろうとしています・・(O)

IKAROSは片面にしか太陽電池パネルを搭載してませんので、太陽角がこのまま増大すると電力喪失は避けられませんが、どうやら「冬眠」で再び電力を得られる時期を待つようです。姿勢がひっくり返ることで温度環境がどうなるか分かりませんが、無事に乗り切って欲しいものです。