「あかつき」は2015年投入だと極軌道に? - 観測に適した翌年への延期も [マイナビ]

先月末に行われた説明会の大塚さんによるレポ。

ヘリウムのリーク量は、推進剤のリーク量とは異なるが、あるリークモデルにもとづく計算式に入れて、これを推定する。実際、他のバルブを使った実液試験では、酸化剤蒸気のバルブ通過量は、ヘリウムで推定したリーク量と同等だったため、透過メカニズムについて深く検討するまでには至らなかった。

しかし実際には、透過の量はシールの形状や材質によって異なり、バルブの種類ごとに大きく変動するものだった。JAXAはこれに気付かず、ヘリウムの試験だけで通過速度を管理できると考え、「あかつき」のバルブでは実液試験は行わなかった。同じバルブが、火星探査機「のぞみ」で使われた実績があったことも、この背景にはあった。

これについて、報告では「我が国におけるバルブの実液試験実績は少ない。推進剤蒸気の移動といった現象に対する技術的知見が十分でなかった」「想像力の不足により試験検証計画の体系的・網羅的な検討やリスク管理が不十分であった」と指摘。今後は、JAXA主導での基礎的な技術データの蓄積、推進系データベースの充実、可能な限り実使用環境に近い条件での試験、などが必要とした。

ただ、衛星の開発は限られた期間・予算・人員で進めなければならないため、ありとあらゆる試験を行うことは不可能。現実的には、リスクの大小を評価して、メリハリを付けた試験を行うしかないが、それを正しく判断するためには、技術者・研究者の知識や経験が必要。JAXA内での実験機会を増やすなどして、人材の育成も図るとした。

非常に解りやすくまとめておられます。必読。