「こうのとり」3号機(HTV3)の説明会 メモ起こし

1か月も前の説明会ですが、超今更ながら録画を見させて頂いたのでメモったのを載せたいと思います。座談会の準備で見る暇無くてそのままでしたのでw ソースはお馴染みNVSさんの中継から

HTV-3 記者説明会


3号機ということで開発が進んできた、一区切り
機体開発の完了
使用機器の国産化・搭載実証、技術輸出
利便性改善 直前の搭載 レートロード大幅増加
NASAのもの等緊急輸送
再突入データを取る機器を2種類搭載


ペイロード
船外物資・船内物資・緊急輸送
船内物資約3.5t、船外物資屋久1.1t


船内
小型衛星はレートロード。
船外
NASA SCAN Testbed


・緊急輸送
水再生システム触媒反応器
軌道上機器が故障し予備品が無くなったため急遽NASAからのリクエス
種子島の作業に若干のインパクト(受領期日3週間超過)


・きぼう水循環ポンプ
排熱 低温系・中温系があるが低温系の循環に不具合
故障解析中だが急遽搭載
結構重い 47kg


・4号機で量産体制
3号機の改良点、国産化
通信機器 トランスポンダとダイプレクサ
データ中継衛星と自分自身の通信リンクであるPROX近傍通信システム


推進器 RCSスラスタ×28 メインスラスタ×4 国産化


・暴露パレット
機構の種類によって分けていたがあらゆるものに対応できるように


コスト削減もあるが、軌道間輸送機のようなエンジンはキーテクノロジー
国として持つべき技術ということで国産化
調達の安定性 輸入品だと向こうの事情で左右される


・トランスポンダ 通信機
ダイプレクサ 送信受信を同時に行う装置
アンテナ 使い方によって違う2種類


・輸出実績
トランスポンダとダイプレクサ→外国の商業輸送機(シグナス)へ

電池・メインスラスタ(類似品)

物ではないが運用支援
HTVの運用が信頼性が高くNASAから評価されシグナス運用支援をしてくれと
NASAの訓練にも主体的に支援


・今回の特徴
再突入データ取得
REBR(米国製)
i-BallJAXAIHI-A共同研究)
写真を撮って機体の破壊状況や溶融する状況と撮りたい
パラシュートで着水 落下域予測に活用


レートロード 全て搭載


ISSキャプチャーは7月27日
ちょうどオリンピックの開幕式直前
今回のミッション期間は37日間(1号機は53日間、2号機は67日間)


・3号機搭載のJAXAの主な実験装置
水棲生物実験装置
メダカやゼブラフィッシュなど
実験装置本体を打ち上げて準備を進め、10月中旬にソユーズでメダカを打ち上げ
60日間 稚魚から成魚まで骨の影響の実験


よく脊椎動物だとマウスなどを使うが、水の生物は3次元で生活しているので排泄物や水処理をいっしょにできるので飼いやすい
世代交代が早い
卵が透明なので成長を直接観察できる
ゲノムが解明されているので研究しやすい
透明メダカなど実験用変異体が豊富


メダカは沢山の卵を産む 短いサイクルで成魚になるので研究できる
色んな操作がしやすい
体外受精なので遺伝子研究がしやすい
ほ乳類と違うとは言っても遺伝子情報としては近い
人の疾患モデルとして使える


・ポート共有実験装置
1つのポートで色んな実験ができる 混載された実験装置


・超高層大気撮像観測(IMAP
赤外線や紫外線で詳しく調べる
地球全体の気象変動への影響を解明
プラズマの乱れ 発生メカニズム


・SPRITE高速度撮像センサ
雷放電 発光現象メカニズム
地球全体への影響
雷現象の基本的な全体図


・インフレータプル構造の宇宙実証
展開構造 軽く丈夫
月や火星でも使える構造物のデモンストレーション


・REX-J
作業ロボットの基本的要素
テザーを使って動き回る機構の無重力での実証


・民生品HDTV
船外で使えるか技術実証


・小型衛星放出
星出宇宙飛行士が担当
大きなロケットにピギーバックでという方法もあるが、宇宙ステーションからなら船内からソフトバッグで運んで放出できる
環境が厳しくない、打ち上げ機会も多い、「きぼう」は独自のエアロックを持っている
日本から3つ(うち企業1つ) NASAから2つ


質疑応答

―3号機の荷物を詰める容積
直径4m 長さ3mの円筒…計算を
35立方m そのうち荷物の分はおよそ12立方m 標準サイズバッグ224個分 3.5t
―輸送機について世界の唯一の…とは何か
共通ラック ドアが1.2×1.2の角
ATVやプログレスは直径80cmの円
―物資は一部NASA 他の局はあるか?
NASAが責任もって要請してくる
―ロシアのものは?
今回は日本とNASAのもののみ 2号機ではヨーロッパのものもあった
―通信機器はもともとドコの国製?
カナダMDA
i-Ball 写真を撮るとあったがどこを?
カメラが2つ付いている 与圧室で撮る写真・放り出されてから撮る写真
バラバラになっていく様子を
―緊急輸送 水再生システム 予備品とは?
交換式触媒反応器の予備品を使い切ったので
―7月まではもつ?
なくても飲み水は十分足りていると聞いている


―直前物資搭載能力の改善 コストダウン・国産化で何が一番効果あったか
あとになって搭載してくれという要請 30個から80個に増やした
国産化が終わった段階では一式あたり3億円くらい安く
全体では3号機は約140億に 今回は開発費がかかっているのでそれを含めると前回よりそれほど安くなってない


国産化 通信機器 他のところでも使われている技術?
通信装置自体は世の中で使われているが、近傍通信システムでは新たに開発したもの
米国のコマーシャルユーザーが輸送機を作っているが我々が開発した技術がいいということで彼らが買うという事になった
―3号機で改良された通信機器・国産化スラスタ 国内の他の衛星などで使われている?
このエンジンは大きく推力500N 衛星は20N なかなか使えない
トランスポンダ 宇宙ステーションで使うものなので、他の宇宙機で使おうと思えば使えるがまだ手は上がっていない 手が上がったのは外国の輸送機のメーカー
―国産スラスタ 実機搭載は初めて?
エンジンは今回が初めて。通信機器は2号機に1式積み込んだ 4式とも積み込んだのは今回が初めて


i-Ball REBR 耐熱温度
共にアブレーター式 1千度以上は耐えられると思うがJAXAが直接開発したものではないので数字は持ち合わせていない
―日本が再突入で画像として捉えたことはない?
ない
―海外の軍事用などではこのようなものは?何やってるか分からない?
私が見たことは無い
―小型衛星放出ISSでこれまでまだやったことはない?
初めて(有人船外活動での放出はあり)
―小型衛星 こうのとりを帰りに落とす時に放り出すというのは
将来的に有効利用ということで衛星を詰めるか検討はしている
与圧部は楽だが暴露部は厳しくなる


―宇宙インフレ―タプル構造 実験期間は
開始ははっきりしていないが ポート共有実験装置で3年以上その状態で構造が持つかどうか続ける
―海外で同様の実験は?
やっていると思うが具体的には知らない 日本ではこの方式は初めて


―3号機が到着する時に星出さんがキャプチャーするか、緊急輸送の追加で除外された荷物はあるか
フライトが調整中なので公式には決まっていないので、星出飛行士が乗った場合は宇宙飛行士との作業分担を決めてから
バッグの量が当然決まっているので、NASAの緊急物資の分はNASAのものから外し、JAXAの分はJAXAの分から緊急度の低いものから外している


i-Ball 120kmで再突入 破壊されるのは何km? 壊れて自然に出てくる? 写真撮影は連続的? 伝送はどうする? 着水して回収する?
破壊高度は78kmくらいを想定 1・2号機のデータからはもう少し下がっているかもという予測
データはパラシュートで降りてからイリジウムで送る
与圧が破壊されて飛び出してくる
写真は伝送量が限られているので1秒おきに撮って合計40枚程度でどれか撮れていればいいだろうと
南太平洋で回収コストがかかるので回収する予定は無い
―40枚は破壊前後で撮る? 78kmごろ?
タイミングは飛行経路によって異なるが 機体のどのあたりが熱くなってくるか
おそらく一番薄いハッチ部分から。その方向に撮影 時間の設定でどこかに引っかかると。熱を測って起動するわけでは無い
その40秒と、機体が飛散するのを撮るので2回ある
かなり振動して機体も安定しないので正しい方向を撮れるかは分からないが


―宇宙インフレータプル構造 あらかじめ気体を入れておく? ポンプで送り出す?
宇宙で高圧ガスを入れて伸びていく構造


i-Ballの画像データの扱いは
JAXAは基本的に公開するスタンスだが、開発はIHI-A どこかに売れる場合もある
出していいデータとよくないデータがあるだろう よくないのは恐らく設計ノウハウに関わる温度データ
角加速度は出せるだろう。写真は初めてなので「撮れたら」公開する考え


―写真 ATVの例 こういうもの?
これは横から撮った写真 我々は後ろを撮る
ESAの空撮はかなりのお金を出して航空機をチャーターして撮っている
JAXAはコストで断念


―「i-Ball」の意味は?
IHI-Aによる命名なので我々には…(笑)


―HTV2号機では姿勢制御しての突入 今回はタンブリングさせる?
今回もタンブリングさせず姿勢制御する。データが切れるところまで
国産化したメインスラスタ これまでと比べて性能は?
基本的に同等 今回目指した熱的安定性は非常に向上


―ATVとHTVでコスト的な差はどれくらいか 3号機以降の仕様確定を前提で
ATVのコストはちゃんとしたものが出ていないが
ユーロの関係でだいぶ振れるが
昔の換算では打ち上げ費用含めで450億円くらいと聞いている
HTV-3は140億だがH-IIBロケットについては将来の輸送サービスが考えられるので差し控えたい