こうのとり3号公開 種子島宇宙センター [南日本新聞]

 宇宙航空研究開発機構は1日、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を輸送する無人補給機「HTV(愛称こうのとり)」3号機を南種子町種子島宇宙センターで公開した。7月21日、H2Bロケット3号機で打ち上げられる。
 HTVは全長9.8メートル、直径4.4メートルの円筒形。輸送物資を除く重量は10.5トン。食料やメダカを飼育する実験装置のほか、ISSの実験棟「きぼう」から5機の超小型衛星を放出し軌道投入する「小型衛星放出機構」を今回初めて運ぶ。

来月は我らが「こうのとり」の出番であります。

No.1583 :再掲載・HTV3概要説明 [宇宙作家クラブ ニュース掲示板]

今回も柴田さんがレポって下さっています。とても興味深い質問を。

柴田・現在は与圧部と暴露部の2段構成となっているが、与圧部だけ欲しいという要求があったら対応可能か。それで軽くなればH-IIB以外の利用もあるか。
小鑓・HTVはモジュール構造になっており、与圧部2つやカプセル追加の構成も可能。重量によってはH-IIBではなくH-IIAでも打ち上げが可能となる。

柴田・宇宙ステーション補給機としては7号機までの予定だが、補給以外に使う可能性はあるか。
小鑓・コアモジュール(電気モジュールと推進モジュール)以外は変更可能であり、将来は有人機を搭載することも可能である。もしISSの運用期間が延長した場合、HTV7号機以降も可能性がある。

柴田・ドラゴンなど海外の帰還可能な宇宙機を購入する可能性はあるか。
小鑓・再突入カプセルは基幹的な技術のため、それはやれないだろう。逆にNASAHTVを買うという話は昔あった。(※今はドラゴンなどがあり、その話はありません)

柴田・(海外から依頼があれば)海外機をHTVに搭載することは可能か。
小鑓・もちろん可能である。

HTVの各モジュール重量はこちらに載っていますが、仮に非与圧部を除外した場合は約8.5t。昔NASDA時代にH-IIA増強型を検討した資料が残っていますが、これによるとH-IIA204型だとISS補給能力は3tとなっています。やはりそれくらいはいけそうですね。
NASAがHTVを買う話」というと以前そういう報道がされてNASAが公式に否定したことがありましたがw、ここでいうのはそれより昔の話でしょうね。「はやぶさ」の再突入カプセルですら自前で開発する必要があったくらい機微な技術ですし、仮に「ドラゴンあったらHTV-Rいらなくね? 買えばよくね?」と某仕分けで言われてもまず先方が通さないでしょう(そもそも日本に輸送義務がありますし)。うむ、LE-5の輸送が軍事利用でどうのこうのと言われた時代が懐かしいですな。
しかしちょっと想像してみると興味深いですね。例えばドラゴン宇宙船は推進系(ドラコ)が帰還カプセル側にまとまって搭載されており、HTVは推進モジュールが与圧部の反対側に付いていますからカプセルだけ与圧部と置換した場合はダブっちゃいます。電気モジュールに搭載されている制御系もそうですよね。電気系統はHTV側に依存しますので専用に開発する必要がありそうです。ISS分離までドラゴンカプセルはほぼ完全にお客さんで、帰還時のみ能動的に機能することになるでしょうね。