宇宙ゴミ:漁網で除去へ 町工場とJAXA協力 [毎日]

 2004年4月、広島県福山市を本拠とする「日東製網」(本社・東京)に宇宙航空研究開発機構JAXA)から問い合わせがあった。「金属のひもで網が編めますか?」。質問したJAXAの河本聡美・主任研究員は「メーカーに片っ端から協力を依頼して何度も断られた。わらをもつかむ思いだった」と振り返る。漁網が主力製品の同社の技術者らは、不思議に思いながらも引き受けることにした。

 日東製網の技術者・尾崎浩司さんは「引き受けてから10年、商売にならなくてもものづくりのプライドだけで続けました」と話す。材料に提供された太さ0.1ミリのアルミ線は折れやすいため編むのが難しく、100メートルの発注に1メートルしかできなかった時もあった。だが漁網で培ったノウハウで機械の改造を繰り返し、07年にはJAXAと連名で特許も取得。09年には漁網用を改造したデブリ除去ワイヤ専用機を完成させた。

 2014年3月までに打ち上げ予定の三菱重工のロケットに搭載される香川大学人工衛星が、初めて長さ300メートルの網状のワイヤを宇宙空間で展開し磁場を発生させる実験に挑む。同大工学部の能見公博准教授は「日本は宇宙での実験がまだ進んでいない。伸ばしたワイヤに磁場を発生させるのはどの国もまだ成功しておらず、デブリ除去に使えるという証明になる」と説明する。JAXAは15年には長さ数キロのワイヤを使い本格的なデブリ除去実験を始める計画で、19年の実用化を目指す

来月打ち上げられる香川大学のSTARS-IIにまず搭載されるそうです。JAXAではHTV「こうのとり」6号機などにテザーを搭載する計画ですが、STARS-IIのもこの技術を汲むものなのでしょうか?