小惑星探査機「はやぶさ」、地球帰還準備が本格化 [朝日]

報道キタコレ

今春に通信が回復してからも11月ごろまでは太陽から遠く、太陽電池の発電量が減ったため「運用を通信など最小限にし、ひたすら耐えた」と宇宙機構の國中均教授。

最近ようやく地球に近づき、通信も常につながるようになったので、帰還準備を本格化することになった。来年3月ごろには長距離航行用のイオンエンジンを本格的に噴射し、地球へ向かう軌道に入る予定だ。「最悪の状況を脱し、運用チームにも活気がある」と國中教授は言う。
だが、これからも難関が待ち受ける。

漏れた燃料を気化させて機外に追い出すため、今月中に機体をヒーターで温める方針だが、予想以上に噴き出せば姿勢が乱れ、通信が再び途絶える恐れがある。

イトカワで採取した岩石が入ったカプセルのふたを閉じる1月の作業では、昨年末に破損し発火の恐れがあるバッテリーを使うしかない。

はやぶさは、これまで様々な苦境を涙ぐましい創意工夫で乗り越えてきた。姿勢制御にイオンエンジンを使ったり、その推進剤を節約するため、太陽電池パネルが受ける太陽光の圧力を利用したり、といった具合だ。

先日の「はやぶさプロジェクトページ」にも載っていましたが、ヒーター、つまりベーキングという作業は一度行いその後また冷えてしまったので再度行なうという事のようです。 なので漏れた燃料が派手に気化するという危険性は少ないでしょう。 むしろ過放電してしまったバッテリーが破損する危険性のほうが心配されますが、これの充電は慎重に行なっているようです。
ちなみに「太陽光の圧力」はイトカワへのタッチダウンにも太陽を背にしてこれを利用していますが、これにより「はやぶさ」は1日で毎秒1cmに加速するのだそうです。 リアクションホイールやその代替のスラスタまでもがほぼ使用不能になってしまった状態では、これらの装置が健在なら「誤差」でしかないものすら命綱になる超シビアな運用が求められるのでしょう。 脱帽ですね。