はやぶさ、地球への旅に出発 〜最後のチャレンジを達成するために〜 [JAXA]

はやぶさプロジェクトチームの中の人特集です! 質問形式で、かなり率直な言葉が。

もう1つ特に印象に残っているのは、着陸前の降下リハーサルでミネルバを分離した時のことです。ミネルバは、「はやぶさ」の着陸前に小惑星表面に着陸して観測するローバーです。私たちは、着陸用のセンサーが正しく動くか分からないという段階で、ミネルバを分離してしまいました。「はやぶさ」にはレーザー高度計とレーザー距離計が搭載されていて、これらの装置でイトカワとの距離を測りながら降下していきます。遠距離ではレーザー高度計、100m以下の近距離になるとレーザー距離計を使います。小惑星の表面が思った以上に明るかったために、リハーサル中に距離計の調整をする必要があり、調整しているさなかだったので、レーザー距離計は使えなかったのです。結果的にミネルバは、70mの高度で分離したつもりが、200mの高度で分離されたことが分かりました。しかもその時、探査機は上昇モードだったため、ミネルバ小惑星に着陸することができませんでした。ミネルバを着陸時に分離することが作業の複雑化を招くので、それを避けたつもりでしたが、距離管理が未熟だったにも関わらず、困難な遠隔操作をしてしまったことが悔やまれます。とても苦しい、思うに任せない運用でした。そこが一番印象に残っています。

リハーサルでは、近距離で測距するレーザー距離計が調整中だったそうです。 おまけに壊れたリアクションホイールの代用である化学スラスタによる姿勢制御もまだぎこちない段階でしたから、かなり厳しかったのではないでしょうか。

あとターゲットマーカーの写真もありますが、フラッシュの反射っぷりが凄まじくてなんだか笑った。 これを目印にはやぶさが降下するわけですね。