日本の月探査機打ち上げ迫る、独走の目論見崩れる [日経BP]

アメリカは、有人月探査計画に先立つ無人探査機として、「ルナ・リコナイサンス・オービター(LRO)」の開発を開始した。打ち上げは、2008年10月の予定だ。LROには7種類の観測センサーを搭載する。そのうちのいくつかは、かぐやのセンサーと用途が重なっている。しかも、かぐやのものよりも性能がよい。

研究者の間では、「LROが打ち上げられてデータを送ってくる前に、かぐやの取得データを使って論文を書かなければ、データが陳腐化してしまう」とも言われている。

90年代半ば以降、一気に宇宙開発への投資を増やしてきた中国も、月に向けて初の無人探査機「嫦娥1号」を打ち上げることを公表した。「嫦娥1号」は、一時期今年4月に打ち上げるという話も出ていたが、現在は今年中に打ち上げるとされている。

さらに、インドも初めての無人月探査機「チャンドラヤーン1号」を2008年に打ち上げる。

かぐやが、当初予定通り2004年に打ち上げられていれば、日本はすでに月面に関する科学的データの整理を終えて、「必要ならば世界各国に提供しましょう」とする優位な立場にいたかもしれない。

実際には計画の遅れのため、アメリカはおろか、中国やインドにも追い込みをかけられることになってしまったのである。

確かに、本来ならずっと早くに打ち上げられる筈だったんですよねー。 まあセンサーに関しては一元的に観測データを得られることと、あと重力場測定っていう目玉がありますからね。 いやあ打ち上げ前にこれの不具合発見できて本当に良かったですよね。 で、あとセンサーの性能を言うならむしろ中国やインドに対しては優位ですね。 

中国とインドは共に、2012年ころに月着陸機を打ち上げ、さらに2010年代後半には月に着陸して土壌サンプルを採取し、地球に持ち帰るという長期計画を持ち、その方向で開発を進めている。両国とも2020年代以降を見据えて、それぞれ独自の有人月探査構想の研究も行っている。つまり、長期的な月探査計画の最初の一歩として、「嫦娥1号」「チャンドラヤーン1号」を位置付けているわけだ。

日本は、かぐやの次に、月着陸機SELENE-2、さらにその先に土壌サンプルを地球に持ち帰るSELENE-Xという構想を一応は持っている。しかし、それらは構想レベルのものであって長期計画に組み入れられたものではない。

SELENE-2は当初、着陸は難しいが、学術的な価値の高いクレーター中央部に降りて、無人探査車による調査を行うことを目指していた。ところが、アメリカが国際協力による有人月探査構想を持ち出した結果、現在では日本が国際協力で参加する場合の予備調査に、目的が変わってしまっている。

確かに日本ではなかなかプロジェクト化しませんよねえ… SELENE2然り、はやぶさ2然り。 この際「かぐや」を大きなとっかかりにして欲しいものです。