「はやぶさ2」が危ない? 小惑星探査機の後継機、海外で打上げか [MYCOM]

うーん?

今回明らかになったのは「はやぶさ2」に関してで、同WGにて松尾委員長が現状について質問したところ、川口教授は「国際協力により外国のロケットで打上げることを前提として検討するよう指示されている」という旨の返答をしたという。海外との共同プロジェクトならともかく、自国単独実施を前提にすでにかなり検討が進んでいる探査機において、改めて他国のロケットを使おうとするのは世界的にも異例だ。

はやぶさ2」を打上げる予定の2010年〜2012年といったスパンで考えると、国内で使用できるロケットは事実上H-IIAしかない。GXロケットは開発がズルズルと遅れて見通しが立たず、次期固体ロケットでは能力的に足りない。海外に比べて割高とは言え、他の衛星との「相乗り」という手もあり、この段階からH-IIAの選択肢が外されているのは少し不可解だ。

過去には、J-Iロケットで打上げる予定だった光衛星間通信実験衛星「きらり(OICETS)」が、ロケット開発中止に伴い、ロシアの「ドニエプル」ロケットで打上げられた例がある。しかし「きらり」は商業打上げとして、JAXAがロシア側に打上げ代金を支払った。一方「はやぶさ2」は国際協力ということなので、探査の成果を共有する代償として、外国に無料で打上げロケットを提供してもらう道を探っていることになる。つまり川口発言からは、JAXAが自前の資金で「はやぶさ2」を打上げる気がないことが読み取れる。

宇宙開発に詳しいジャーナリストの松浦晋也氏は、「『指示されている』という言い回しが気になる。言葉通りに受け取ると、海外ロケットの使用は強制されたもので、『はやぶさ2』検討チームは、ロケットを提供してくれるパートナーを見つけなければ、計画中止になる状況に追い込まれていることになる。ただでさえH-IIAロケットは、今後しばらくは打上げ機数が足りず、製造と打上げを担当する三菱重工業が、打上げ事業の継続に苦心しているところ。打上げ機数が1機でも増えれば、それだけH-IIAは安定して運用できることになる。貴重な打上げペイロードを海外で打上げようとするJAXAの態度は不可解だ」と指摘している。

これはどういう事だろう。 技術的にはH-IIAもウインドウの狭い探査機の打ち上げにも使えるということは「かぐや」で実証されましたし、何より打ち上げロケットがM-VからH-IIAに変更された金星探査機PLANET-Cが進行中であります。 とすると考えられるのは予算的な意味で、「打ち上げ費用を安く抑えろ」ということでしょうか。 逆に考えれば、少なくとも「はやぶさ2」の開発予算についてまでは話を付けたと思えなくもありませんが…しかし、これまで曲がりなりにもJAXAと共に散々苦心して民間移管にまでこぎつけたH-IIAペイロードをわざわざ減らすような真似をされては、受注活動に奔走する三菱重工はたまりませんね。
先鋭中の先鋭であるプロジェクトがここまでジリ貧なのはどうしたもんか… まあNASAでも小惑星探査機DAWNが予算面で一時頓挫しかけてましたしねえ。 「国際協力で安く抑えろ」みたいな指示っぽいですが、川口先生曰く「参加する」ではなく「参加させる」なら「先進性を維持しつつ国益を維持できる」ですから、まだ実現できるだけ良い方なのかもしれません。 何はともあれ応援しております。