月周回衛星「かぐや」関連

初期機能チェックでてんやわんやであろうJAXAの中の人の喜びの声。

ISASメールマガジン 第166号

「かぐや」に携わって以来、10年以上が過ぎました。

そして、このたびやっと、やっと、本当にやっと、私たちが開発を手がけたLISMは、初期機能確認の一環として初めての画像を得るまでに、辿り着きました。

http://www.jaxa.jp/press/2007/11/20071116_kaguya_j.html

すばらしい画像データを、40万kmの彼方から送ってきてくれる孝行もののLISMに改めて感謝です。

今だから言いますが、「かぐや」のパドルや磁力計ブームをモニタするカメラの画像(HPに掲載されています)を最初見たとき、とても美しい月の画像が鮮明に映し出されていて、「LISMは、これだけの美しいものを撮れるのだろうか?」と正直、焦りました。

ハイビジョンカメラ(HDTV)の初期機能確認として撮影された動画を見たとき、おいおい、と思いました。「月が美しすぎる。まるで本当に月上空を自分が飛行しているみたいじゃないか。これじゃ、LISMなんて要らない、なんて誰か言い出すのじゃないだろうか…」

しかし、初期機能確認用としてLISMの初めて降りてきたデータに、月面の細かい構造までがはっきりと映し出されているのを見たとき、そんな心配は吹き飛びました。自分が手塩にかけた機器だからひいき目に見て言うのではありません。LISMが我々に送ってきてくれたデータは本当にすごい、すごすぎます。今はまだ、すべての機器の初期機能チェックの段階であまりデータはありません。しかし、12月半ば頃から始まる予定の定常運用で、LISMが送ってきてくれるデータは、きっとさらにすごいものなるでしょう。

TPS/Jメール YMコラム (NO.407)

「かぐや」のハイビジョンにつづいて、地形カメラ、マルチバンドイメージャ、スペクトルプロファイラという3つの光学機器の初期画像がJAXA Webに掲載されました。最新のISASマールマガジンに寄稿した地形カメラ担当の春山さんの記事によれば、

──この三つの機器をあわせてLISM(月面撮像/分光機器)といいます。地形カメラは、月面を10mという超高空間分解能で月面をくまなく立体視撮像し、月の地形を詳細に調べます。マルチバンドイメージャは、様々な波長のフィルターを通した画像を取得し、月面の物質の違いをあますところなく調べます。スペクトルプロファイラは、鉱物に特有なスペクトル(波長毎の反射率)を得て、どんな鉱物が月に存在するのかを調べます。どれも、これまでに例をみない高性能の機器です。──(春山)
 
実際には初期画像と言っても膨大なデータが取得されています。そのほんのちょっとがWebに出ているだけですが、いずれ目を剥くような素晴らしい画像が公開されます。楽しみにしていてください。今確かに「かぐや」は、世界の月探査を先導しているのですね。

「かぐや」から送られてくるデータ一つ一つに心躍らせる様子がありありと見えて和みますw これから更に鮮烈なデータが控えているようで、待ち遠しくて仕方ありませんね。

ハイビジョン月面画像をネット公開しなかったNHK [日経BP]

「地球の出」などのハイビジョン映像はニュースや特番で流れたっきりで、オンラインでリリースされた映像はずっと解像度を落としたものでした。 かろうじて切り出し画像はオリジナルサイズでしたが。 それについては先日「よくある質問」ページで、契約上の理由であるという旨の説明が追記されましたね。

「かぐや」の価値を一般に広く広報しなければならない立場のJAXAは、ネット公開をむしろ希望していた。渋ったのはNHKだった。

あー、JAXAむしろは公開したかったんですか… NHKはちょっと堅過ぎますね。 そりゃ商売の話はわかりますが、宣伝というものを少しは考えたらどうなんでしょう。 味を落とした味見をさせられてもあまり買いたいとは思いませんし、むしろ少量でもホンマモンを味見させられたほうが食指が動くというものでしょう。 それだけの素材だと思うんですけどねえ、勿体無い。 と同時に多少解像度を落としても被写体そのものの素晴らしさはもちろんありますが、NHKの場合ハイビジョンが売りなわけで、例えばせめて「地球の出」「地球の入り」のショート版だけでも高画質で公開して、その後でも月面を舐め回す動画をてんこ盛りにしたDVDなりをリリースしたら世界中から注文が集まりそうな気がします。 JAXAデジタルアーカイブスを見ると、かなり撮りためている感じですし。
まあ、オンライン公開するにしてもそもそもJAXAの鯖が弱いというのもあるかもしれませんけどね。 なんせ「地球の出」公開の日はプレスリリースのページがやたら重かったしプロジェクトサイトなんて繋がらなくなってましたからw とはいえ、世界共有財産級の映像を出し渋るというのは正直残念な思いがあります。 勿論自分はNHKで放送された月面動画を片っ端から録画してこれだけでもかなりウハウハですが、いよいよ月探査が活発になる中、これがより強力に日本の存在感を世界にアピールする絶好の素材の一つなのは間違い無いわけで、NHKがその片翼を担うという事は間違いなくメリットのある話だと思うんですけど、この現状では残念ながらやはり「ケチである」と受け取られている感は否めません。