はやぶさ2計画は生きている [松浦晋也のL/D]

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午前中は現在運用中のプロジェクトに関する発表。最後に川口淳一郎教授が「はやぶさ」の発表をした。

おそらくこのページを見に来るネットユーザーの誰しもが知りたがっている話を。

後継計画「はやぶさ2」は生きている。イタリア宇宙機関(ASI)の長官から立川JAXA理事長に宛てて「共同で計画を進めたい」旨の書簡が届き、立川理事長が「前向きに検討しましょう」という返事を出したとのこと。探査機を日本が、イタリアが「ベガ」ロケットを提供するという形式を考えている。このほかNASAとも協力の検討を進めているそうだ。

おおしゃあああーよーしよしよしよし! 何とか芽は残ったようですよ。 先日の理事長談話に出た「はやぶさ2」はやはりこの「はやぶさ2」であったようです(自分はそうだと思ってましたが、裏付けが出たという点で)。 名乗りを上げたのはイタリア、現在ESAにおいてイタリアが主体となって開発中の固体ロケット「VEGA」による打ち上げが考えられているようです。 ESAとは2010年代後半に「はやぶさMk-II(マルコ・ポーロ)」の共同ミッションを行う話が進んでいますが、これを踏まえると筋の通った話ではあります。 もうひとつ、NASAとの協力はどのような形なんでしょう? まあとにかくVEGAには上手く開発が進んで欲しいところです。

ただし、JAXA内部でのゴーサインはまだだそうだ。川口教授が「私は理事長ではありませんから」と、言葉を濁すシーンもあった。

結局のところ、この件に関するJAXAの内情は「既存計画で手一杯、新規計画向けの金なんかない」に尽きる。さっさとつまらん失敗プロジェクトをやめて、その分を「はやぶさ2」につければいいのに、というのは無責任な部外者の言い分であって、当事者としてはなんとかして既存計画を成功させる、ないしは成功ということにして終わらせる必要に迫られている。そして旧三機関の力関係というのはJAXA内に厳然と存在しており、ISASの立場は決して強くない。

その中で、川口教授以下月惑星探査推進センター(JSPEC)は、天上の「はやぶさ」と同じぐらい、いやそれ以上に粘り腰を発揮している。「海外からロケット取ってこい」という、ほとんど昔話の主人公が遭遇するような無理無体に対して、ロケットを取ってこれそうな情勢を作り上げつつあるのだ。

私思うに、昨年度の予算折衝で、たった5000万円ではあるが「次の小惑星探査機」の名目で予算がとれたことはとても大きな意味があった。予算というのは一度名目が立つとなかなかつぶせない。2006年の段階で、予算項目をとれたことで、JSPECは計画継続に向けて粘る足がかりを得た。

そう考えると、一般からのあちこちへのメールは決して無駄ではなかったのだろう。

いやほんと首皮一枚で繋がったって感じですよね。 物事諦めないものです。 今後の動向に注目。