米国、迎撃ミサイルでスパイ衛星撃破を決定 [Wired Vision]

今月から来月にかけて落下すると言われている米国の制御不能になった偵察衛星ですが、どうやらMDシステムにより破壊するようです。 まさか本気でやるとは。

Carwright将官によれば、計画は、「地球の大気圏に突入する直前に」、SM-3迎撃ミサイルを衛星に向かって発射するというものだ。ミサイルがその高度で衛星に衝突すれば、宇宙に放出される破片(デブリ)の量は少量になり、衛星の破片の大半は、衝突してから10〜15時間以内に大気圏で燃え尽きると見られるという。また、衝突によって「衛星の速度が落ちる」と思われるので、「海に落下させる」ことが可能になる、とCarwright将官は付け加えた。

「大気圏に突入する直前」以前に撃破しようとすると、軌道上の他の物体へのリスクがある。さらに、大気圏に突入した後の場合は、バラバラに分解しており、作戦は困難になるという。

宇宙安全保障の専門家のなかには、このアイデアは「実現可能性が高い」と言う者もいるが、極めて懐疑的な者もいる。

この作戦に使用される予定のSM-3迎撃ミサイルは、米国のミサイル防衛システムの中ではもっとも成功しているシステムの中核だ。信頼性が低い他の迎撃ミサイルと違って、SM-3は最近行なわれた13回の実験で11回標的に命中している。最初のSM-3が発射に失敗したり、標的を外した場合に備えて、同様の武器を搭載したイージス艦も2隻待機する予定だ。

撃破計画は3、4日以内に実行される可能性がある。その後の7〜8日間でも、衛星の撃破は可能だ。

APの記事によれば、『Standard Missile 3』はもともと衛星ではなく弾道ミサイルを撃破するために開発されたものなので、ソフトウェアを修正して、ミサイルのセンサーが問題の衛星を標的と認識するようにするという。また、他の当局者によれば、ミサイルの最大射程距離は機密情報だが、通常の軌道にある衛星を撃破できるほど長くはないという。

以前中国が行った衛星破壊実験は高度800kmの定常軌道を周回する気象衛星を破壊したため数万のデブリがそのまま軌道を覆いましたが、今回はおよそ200kmという落下寸前の不安定な軌道を周回中なので、破壊によって発生するデブリはその殆んどが希薄大気の影響を受けそのまま短期間のうちに大気圏に突入するだろうと思われます。 多少軌道が変わっても速度が増すわけではありませんし、カタマリよりも粉々の方が燃えやすいという話です。 その点ではデブリの心配はほとんど無いと思いますが、何せ衛星破壊という意味では中国と同じなので、それを非難した米国自身が目的が違うとはいえここまで強硬な手段を取るというのはちょっと驚きですね。 放っておいても7割がた海に落ちるわけですし… もちろんMDのテストも兼ねているのでしょう。 その意味ではMDに参画している日本としてはやるからには成功してもらわなければ困るわけで、ややこしい話です。
ちなみに衛星の規模ですが、朝日新聞によると1.1トンと書かれていますが、このエントリーの記事や毎日新聞によれば2.3トンで共通しています。 搭載されたヒドラジンはおよそ450kgで各紙統一しているようです。


しかしこれ、H-IIA14号機の打ち上げ日再決定に影響しないかどうか心配です(;´Д`)