産科医に無罪判決 帝王切開での女性死亡事故 福島地裁 [朝日]

福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性(当時29)が死亡した医療事故で、福島地裁(鈴木信行裁判長)は20日、業務上過失致死と医師法違反罪に問われた医師、加藤克彦被告(40)に無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。事件は、治療における医師の判断、手術法の選択にまで捜査当局が踏み込んだものとして注目されていた。

判決では、加藤医師が女性の癒着胎盤をはがした判断と行為について「胎盤をはがさずに子宮摘出に移れば、大量出血は回避できた」としながらも、「胎盤をはがしはじめたら、継続するのが標準的医療。はがすのを中止しなかった場合でも具体的な危険性は証明されていない」と述べ、過失にあたらないとした。異状死の場合、死亡後24時間以内に警察へ届けなければならない医師法違反にも問えないとした。

無罪は当然でしょう。 こんなのが有罪になって「たられば」が判例になっちゃったらホント医療行為なんて出来なくなります。 まあこんな裁判沙汰にされてる時点でかなりダメージがありそうですし、十分深刻な状況だと思いますが。 

「なぜ事故が」…帝王切開死、専門的議論に遺族置き去り [読売]

一方、亡くなった女性の父親、渡辺好男さん(58)は、最前列で傍聴した。主文読み上げの瞬間、驚いたような表情で鈴木信行裁判長を見上げた後、厳しい視線を加藤医師に投げかけた。

加藤医師は、約2時間20分にわたった言い渡しの後、傍聴席の遺族の方を向き、深々と頭を下げた。

渡辺さんは判決前、「なぜ事故が起きたのか、なぜ防げなかったのか。公判でも結局、何が真実かはわからないままだ」と話した。

あの日、妻(55)から「生まれたよ」と連絡を受けて病院に向かった。ハンドルを握りながら、娘に「もうすぐクリスマスとお正月。二重三重の幸せだな」と声をかけようと考えていた。

病院に着くと悲報を聞かされた。1か月前、左足を縫うけがをした渡辺さんを、「体は大事にしなよ」と気遣ってくれた娘だった。

帝王切開で生まれた女の子と対面した娘は、「ちっちゃい手だね」とつぶやいたという。これが最期の言葉になった。娘の長男が「お母さん起きて。サンタさんが来ないよ」と泣き叫んだ姿が脳裏から離れない。

「警察に動いてほしかった」と思っていた時、加藤医師が逮捕された。

「何が起きたのかを知りたい」という思いで、2007年1月から08年5月まで14回の公判を欠かさず傍聴した。証人として法廷にも立ち、「とにかく真実を知りたい」と訴えた。「大野病院でなければ、亡くさずにすんだ命」と思える。公判は医療を巡る専門的な議論が中心で、遺族が置き去りにされたような思いがある。

この記事はどうなんだろうか。 「真実を知りたい」→「専門的な議論が中心で遺族が置き去り」って矛盾してるんじゃないですかね。 医療行為における事実関係を明らかにするためには専門的な議論になるのが当然だと思いますが。 もちろん、新しい命の誕生で喜びの真っ只中のはずが家族を亡くしてしまったという遺族の気持ちになると本当にやりきれないものがありますし、どん底に叩き落とされて恨み節の一つも吐きたくなるかも知れませんが、それで「真実を知るため」の議論を混ぜっ返すような書き方をしちゃお終いです。