月周回衛星「かぐや(SELENE)」のハイビジョンカメラ(HDTV)による半影月食時の地球の撮影の成功について [JAXA]

うっおお… 鳥肌立った…

宇宙航空研究開発機構JAXA)および日本放送協会NHK)は、平成21年2月10日(日本時間、以下同様)に月周回衛星「かぐや(SELENE)」からハイビジョンカメラ(HDTV)によって、「半影月食」※時に、「かぐや」から見て地球が太陽の大部分を覆い隠し、地球がダイヤモンドリングのように見える瞬間を動画撮影することに成功しました。この現象が月から撮影されたのは、世界で初めてのことです。

半影月食とは、太陽、地球、月がほぼ一直線に並び、月が地球の半影(月から見て太陽が地球により一部隠されて(部分食)見える)に入る現象で、月に届く太陽の光量が減るため地球からは月の表面がいつもより暗く照らされて見えます。月を極軌道で周回する「かぐや」が月食に遭遇するのは、最大で年に2度程度と大変貴重なものです。

いわば月の軌道から見た地球による日食ですね。 ていうか動画の後半逆光が凄まじいですねこれ。 CCDを焼く覚悟で撮影したんでしょうが、どうやら大丈夫のようで、今後もHDTVによる撮影を行なうそうです。 いやこれは本当にGJ。
↓公式チャンネルにもHDでアップされたようです。

月周回衛星「かぐや(SELENE)」の 状況について [JAXA]

あと「かぐや」の定期報告も上がっています

2月1日から、高度50km±20kmで低高度によるさらなる詳細・高精度なデータ取得を開始している。なお、低高度の主目的である月磁場観測装置(LMAG) 等による月の磁場の3次元的分布及びミニ磁気圏に関するデータ取得は予定通り実施できる見込みである。
主衛星については、6月ごろまでに月面に落下する見込み。落下にむけた運用については現在検討中である。

ていうかもうとっくに50kmに下げてたんですかww まだこれからだと思ってた。 「かぐや」本体は6月に落下運用の見込み。

なお、月食は、これまでのかぐやの運用期間にもあったが、これまでは、電力・熱などの条件を考慮し、観測機器の運用は行ってこなかった。今回は、電力・熱などの問題がないことを確認の上、HDTVの撮影をはじめて実施した。

確か以前も月食の機会がありましたが、確かに特に何も撮影してませんでしたよね。 今回はもう定常観測が終了してますし、条件はだいぶ緩くなったんでしょうね。

昨年12月26日に、リアクションホイール(姿勢制御装置)1基について、平成20年7月23日18時30分ごろに発生したリアクションホイールの停止に至った不具合現象と同様と見られる摩擦トルクの増加を検知した。
このため、直ちに、スラスターによる姿勢制御に移行し、リアクションホイールの停止という状況を防ぐ処置を実施するともに、状況確認・運用方法の検討を実施した。現在、摩擦トルクの状況をみながら、低速度でのリアクションホイール運用を2月13日から再開している。
なお、スラスター制御による姿勢制御運用の実施に伴い、スラスター燃料の利用が増加した。この状況を踏まえて、後期運用計画を次の点で見直した。

当初計画でH21.5月頃に予定していた20km(南極側)×100km(北極側)の軌道は、軌道を上昇させるスラスター燃料が不足するために中止することとしたが、20km側で期待される成果(磁場の高精度観測)については、50−20km高度の運用で達成できる見込み。100km側で期待される成果(異なる日照条件でのイメージ観測)は低高度に比べて優先度は高くなく、かつ50kmでの観測でも代替できると判断している。

どうやらリアクションホイールが更に1基飛んだようです。 このためスラスタ燃料使用頻度が上がり、100×20kmの軌道での観測はキャンセルされ、50(±20)kmで低軌道観測を行なう事になったらしい。 うむ、確か「かぐや」のリアクションホイールもIthaco社製らしいですが、1年少々で2基逝くというのはちょっとどうなんでしょうかね。
とりあえず観測運用については十分達成可能だそうで安心ですが。