平成20事業年度財務諸表 [JAXA]

ここの「事業報告書」に20年度に実施した事とかが載ってます。ファイルの更新日を見ると3ヶ月前の資料のようですが、GCOM-W1の開発など順調らしい。

災害監視衛星システムの研究開発

年度計画の要点10) (鄯)陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)
・合成開口レーダ(SAR)搭載衛星及び地上システムの研究開発を実施する。
・災害監視衛星システムの構築に向けて、衛星による災害監視に対するユーザの利用要求及びデータ利用形態を明確化し、それらに基づく衛星システムの仕様を設定する。


実績:
・ 平成21年2月のシステム定義審査(SDR)により、衛星システム及び衛星管制・ミッション運用システムの開発仕様を設定し、予備設計に着手した。
・ SARセンサについては送受信モジュール等のブレッドボードモデル(BBM)設計製作に着手し、新規開発要素の技術的リスクを低減するためのフロントローディング(技術的リスクの低減)を着実に進めている。
・ 防災関連省庁に対して文科省宇利室とともにヒアリングを行った結果、9つの防災関係府省庁(内閣官房内閣府警察庁消防庁国土交通省国土地理院気象庁海上保安庁地震調査研究推進本部)からの次期衛星の具体的な利用内容が示され、利用要求や利用形態の明確化を行った。
ALOS継続ユーザ(環境省農水省国土地理院海上保安庁)ならびに民間事業者(4社)に対するヒアリングも追加して実施し、「だいち」の利用成果を発展させユーザニーズに対応する衛星システム仕様を設定した。


年度計画の要点11) (鄱)陸域観測技術衛星3号(ALOS-3)
光学センサ搭載衛星の研究開発を実施する。

実績:
・ 衛星及び光学センサのシステム設計、要素試作試験としてデータ圧縮回路の試作設計を実施した。

ALOS-2(SAR)に続き、ALOS-3(光学)のシステム設計にも入っているようです。あと「だいち」はブラジル以外にアラスカにもデータ提供を始めた模様。

(a) 科学衛星の研究開発
年度計画の要点1) 金星探査機(PLANET-C)の詳細設計、フライトモデルの製作試験
実績:
①世界初の惑星気象ミッションの平成22年の打上げに向けて、年度計画に沿って順調に準備を進めた。
②特に、フライトモデルの製作を継続し、機械電気噛み合わせ試験を実施し、開発の最終段階に進む見通しが付けられた。

PLANET-Cの開発はかなり順調のようです。

年度計画の要点2) 電波天文衛星(ASTRO-G)の詳細設計、エンジニアリングモデルの製作試験
③大型展開アンテナなどの技術課題への対応が順調ではなく、そのため必要開発費用が当初予定を超過する可能性が高くなった。計画の縮小を含めた解決案を検討したが、平成20年度内に、解決案に至る事はできなかった。科学的成果を失わないような解決案を検討中。

うむ… 何やら大型展開アンテナで手こずっているようです。展開機構なのか精度なのか気になる所。画像あり。


「宇宙探査」では「特記事項」がどーんと明記されていますw

年度計画の要点2) 小惑星探査機(MUSES-C)の地球帰還に向けた運用を継続する。
実績:小惑星探査機(MUSES-C)は、2月にイオンエンジンを再点火し、第2期軌道変換を開始した。イオンエンジンによる並進加速と姿勢制御の同時達成方式を開発し、探査機のコンピュータに登録した。また、カプセル回収計画を立案し、関係省庁/豪州政府と調整を行うなどの準備を行った。

イオンエンジンによる姿勢制御プログラムを開発しちゃったうえに、既に「はやぶさ」への実装も完了している模様です。これで万一最後のリアクションホイールが逝ってしまっても地球帰還を継続することが可能になります。凄いなあホント。

年度計画の要点4) SELENE後継機およびMUSES-C後継機とそれらへの搭載観測機器・実験機器の研究を実施する。
実績: 「SELENE-2」については、宇宙基本計画の有人月探査構想における第1段階(高度な無人探査の実現)の最初のステップとして位置づけ、観測センサやローバ等のミッション機器、探査機システムの検討を行った。また、「はやぶさ2」についても、はやぶさからの改良設計を含む、観測センサや試料サンプリング等のミッション機器、探査機システムの検討を行った。また、月惑星探査に特有な主要技術課題について、実施・実現時期、目標ミッションへのつながりを明確にしつつ研究を実施し、プリプロジェクト、WG活動に貢献した。

SELENE-2は例の「高度な無人探査の実現」の一環として実施する構えのようです。また「はやぶさ2」は要素ごとの検討を行なっている段階らしい。

年度計画の要点2) HTV運用機の製作等
②HTV構成機器(トランスポンダ(通信中継器)、一次電池、LED照明、スラスタ)の国産化開発を進め、HTV運用機のコスト低減、国内技術向上等を進めた。
特に、PROXと通信を行うトランスポンダはHTV運用において重要な距離計測精度の向上を図るとともに低コスト化を実現した。一次電池(リチウムイオン)については宇宙用として大型(400Ah)で、世界最高レベル※の性能となる重量あたり約16%の容量密度向上(116Wh/kg→134Wh/kg)を達成して、運用機へ搭載の目処をつけた。

HTV-1(技術実証機)では2系統の二次電池が搭載されていて、片方側が元々一次電池を積む仕様だったため充電できないようになっていたそうですが、効率の良い一次電池の開発がかなり進んだようです。

年度計画の要点1) H−ⅡAロケットについて、信頼性向上や安定的な打上げ基盤の確保のため、2段燃焼中振動への抜本的対策となる構造開発への対応検討、並びにアビオニクス、モータケース等の部品に関する枯渇・国産化への対応検討を実施する。
実績: ① 2段燃焼中振動対策としてこれまで取り組んできたLE-5Bエンジンの燃焼振動低減に加え、第2段の構造様式・構造材料の抜本的な見直し及び設計解析技術の向上を含めた検討を行い、振動レベルの大幅な緩和(現レベルから50%程度の低減)の見通しを得た。さらにその結果に基づき、今中期中(24年度まで)の改善を目標とした開発計画を設定した。
② 民間と連携して、中期計画期間に手配が必要な電子部品の取りまとめ発注を設定し、個別発注と比較して、部品価格を30%程度低減できる見通しを得た。
③ SRB−Aについて、輸入材料が価格上昇しているモータケースに対して、国産化を含めたコスト改善策を洗い出し、約20%の低減の可能性を確認した。また、材料・製造に関するリスク評価を行い、今中期中(24年度まで)の適用を目標とした確実な開発計画を設定した。

燃焼圧変動対策が施されたLE-5B-2が14号機から搭載されて良好な効果を得てますが、更に2段目機体を含めた抜本的な改良が行なわれる模様です。現レベルから5割低減って、それはつまりF14以降の更に半分って事ですか?
またアビオやSRB-Aその他諸々の国産化・コスト低減を計画中。