宇宙ステーション補給機「HTV」が再突入、ミッション完了 [Robot Watch]

今回もナイスレポ来てます。

与圧部の搬出は10月20日に完了。その後、ISSから出た廃棄物を搬入して、10月30日2:32にハッチが閉じられた。当初の予定では、30日間程度の係留期間となるはずだったが、廃棄物の搭載が増えた(200kgほど増加)こともあり、2週間ほど延びた。今後は半年間程度、プログレスやATVの離脱がないため、可能な限りHTVを使って破棄したい、という判断だったようだ。

今回のHTVは“技術実証機”であるのだが、ほぼ運用機のように期待・信頼されていることを示すエピソードとも言えるだろう。ISSクルーからも高く評価されており、山中浩二フライトディレクタのところには、HTVにみんなで寄せ書きした写真がメールで送られてきたそうだ。

うーん、信頼されてますね。技術実証機ながらほとんど運用機扱いなのはある意味日本の伝統のようなものですがw、それだけの準備を行なってきたのが功を奏したという事でしょう。これ寄せ書きかなあ。記念撮影で後ろのディスプレイに映っているクルーの集合写真にHTVのサインが見えます。みんないい笑顔だ。真ん中のダルマちゃんとHTVって書かれてるwww
大きな画像こっちにもあった。「EVERYONE ON OUR MOST AMAZING HTV TEAM」「THANK YOU FOR A BEAUTIFUL VEHICLE」は泣かせますね。粋な人達だ。日の丸は取り外して戻されたようです。

廃棄物を搭載したHTV技術実証機は、10月31日0:02にISSから分離。ロボットアームにてISS直下12mの地点に運ばれ、同日2:32にリリースされた。当初、これは1:05頃を予定していたが、離脱直後にデブリと衝突する恐れがあったため、遅らせた。

2回の相対離脱マヌーバにより、ISSの下方5kmの軌道に投入。今度はISSを置いていく形でHTVが先行していく。

そして11月1日夜からの3回の軌道離脱マヌーバにより高度を下げ、11月2日6:26頃、ニュージーランド上空120kmにおいて大気圏に再突入した。地上からは観測していないので断定はできないが、燃え残った金属片などは予め設定した南太平洋の落下区域に落ちたものと推定される。ちなみに、テレメータは高度116kmあたりでブラックアウトし、それ以降のデータはない。

このマヌーバの前後に、3件の技術実証も行なわれた。ISSへの結合が順調に行なわれたため、利用されることがなかった非常時用の機能なのだが、技術実証機ということで、最後にこれらの機能も確認された。与圧部内の圧力が高くなったときに空気を抜くベント機能、曝露パレットを固定する機能、HTVの把持部分(FRGF)を分離する機能で、すべて正常に作動することが確認された。

再突入に関しても全て順調に進められたらしい。非常用機能のテストは予定リストに載ってなかったものでしょうか?

ちなみに、エクストラサクセスの条件は、6トン以上の荷物を運べることの実証だという。じつは、HTVの運用が順調だったことと、H-IIBによる軌道投入が極めて正確だったことにより、今回搭載した推進剤やバッテリには、かなり余裕があった(もともと多めに搭載していたが、それを差し引いても)。詳しくは今後の解析を待つ必要があるが、これらを減らして、荷物を増やせる可能性はある。

フルサクセスは達成、エクストラサクセスも行ってるんじゃないかという話。

今回の技術実証機では大きなトラブルが出なかったので、来年度以降の運用機でも大幅な設計変更は行なわれない見通しだが、マイナーな改修としては、「熱解析よりは実運用の方が良かったので、ヒーターを減らせるかもしれない。それに前述のスラスタ温度の問題は、推進系のシステム設計の変更が必要かもしれない」(虎野プロマネ)とのこと。

また会見に同席した山中フライトディレクタは、個人的な意見と前置きしながら、「実験の成果物などを持ち帰る能力は持ちたい。いきなりHTVサイズは無理だが、カプセル等での回収は可能ではないか」と発言。「初めての再突入でも狙った場所にドンピシャで落とすことができた。今日は回収の良いデモンストレーションになったのではないか」とアピールした。

スラスタについては運用機では問題無いだろうという話でしたが、必要ならば設計変更を行なうかも知れないそうです。また、ヒーターも減らせるかも知れないという事で、どんどんシェイプアップしていきますね。HTV-1は本当に色んな成果を残してくれました。

HTVに関するJAXA記者会見(その4) [大塚実の取材日記]

ある意味ナイスレポ本編が上がっています。本当に有り難いです。

Q 共同通信
次の飛行機会はいつの予定か

A 虎野
まだはっきり決まっていない
荷物の準備状況による
22年度に上げることは予定している

夏期は無理そう それ以降になる
HTVが間に合わないのではなくて
載せる荷物の都合

次の予定は物資の準備状況に合わせるそうです。もし冬期の夜間打ち上げとかになったら寒くて大変だろうなー。

Q なんとかWeek
運用機が何機かあがるが
初号機と違う設計は

A 虎野
初号機は何が起こるか分からないので
通常よりも電池と燃料を多めに積んだ
今回の荷物は4.5t
1.5tが予備の燃料と推進剤
次回からは6tの荷物を運ぶ

次からは搭載可能重量6tいっぱい詰め込むようです。更に増えたりするでしょうか?

A 虎野
先週のニュース
三菱電機のPROXの商談 米国のメーカー
HTVで使われた技術
HTVのやり方が有効であると米国が認めた証

大きな荷物を出し入れできるから

うむ

Q さきほど写真で出た寄せ書きはHTVどのあたりに

A 山中
与圧室の一番奥側に書いてくれた
今日燃やしてしまったわけだが

ちょww
メールで送ってくれたのはニコルさんで、HTVを大層気に入ってくれたそうです。

A 虎野
燃え尽きるのは忸怩たるモノがある
せっかくここまで作ったのに
燃やすのは寂しい

早く燃焼処理しないものを
例えばHTV改だかHTV-Aだか
それだけが軌道上に残って
日本の独自ステーションになるような夢があってもいい

A 山中
私が燃やした張本人なので
そういう思いは正直ある

何度もチームのメンバーに
あと1時間、あと10分、とか言っていた
悲しい思いがなかったわけではない

ソユーズプログレスも100回以上飛行
非常に安定 それもすばらしい

日本人はちょっとずつ改良していくのが性に合っている
有人でどーんとなるとなかなか議論ばかりで先に進まない
これを土台にして改良していくのが結果として一番早いのでは

最初何回かは使い捨てであることは我慢して
少しずつのステップアップと考えて
自分を慰めながら今日は燃やしてしまいました
でも結構悲しいですよ

そういう風に出来ていると言っても、やっぱり喪失感はありますよね。あの美しい機体をあわよくば回収して飾って置いておきたいくらいに思いますが、もちろん全部回収なんて出来ませんが、カプセル回収型なんかも具体的な次のステップとしてまさに今が盛り上げるタイミングですよね。