GXロケット、計画中止=新エンジンだけ開発継続−940億円負担できず・政府決定 [時事]

結局この結論に落ち着いたようです。

政府の行政刷新会議が「事業仕分け」で廃止と判定した官民共同の中型ロケット「GX」開発計画について、内閣官房宇宙開発戦略本部は16日、開発には着手せず、計画自体を取りやめると発表した。IHI(旧石川島播磨重工業)を中心とする民間側は、国内外で年間3、4機の需要が見込めると主張したが、同本部は需要や価格競争力が不十分として、試験機2機を含む総開発費約940億円を負担できないと判断した。
一方、宇宙航空研究開発機構が担当する液化天然ガス(LNG)を燃料とする新エンジンの開発は続け、2010年度の予算措置(概算要求は58億円)を講じる。三菱重工業に民間移管されたH2Aロケットの液体水素燃料のエンジンに比べ、安全性などが優れ、技術的に完成の見通しが得られたため。LNGエンジンは米国やロシアも開発に成功しておらず、将来は国内外のロケットに使える可能性があるという。
この方針は、同本部の副本部長を務める平野博文官房長官前原誠司宇宙開発担当相のほか、川端達夫文部科学相直嶋正行経済産業相の合意に基づく。文科省宇宙開発委員会が03年3月に開発計画を承認して以来、迷走を続けたGX計画は、6年半余りで頓挫した。

まあ、申し分のない判断ですね。もっとも、前政権でも同じ判断でしたしこれは既定路線でしょう。必要となる開発費が当初の数倍まで増大した上に(元々見通しが甘かったというのもありますが)、打ち上げ費用も増大した反面スペックは低下という状況ですから本来の商業プロジェクトとしてはもうその時点でご破算でしょう。また技術的目玉であるLNG推進の研究は続けられる事になったため、GXの役割は完全に終わったと言えます。

GX中止、IHI最大100億円の損失処理 [読売]

政府が、官民共同のGXロケット計画の中止を決めたことを受け、IHIは16日、最大で100億円程度の損失処理を迫られる可能性があることを明らかにした。

損失が膨らめば、2010年3月期の連結純利益が赤字に転落する可能性もある。

ただ、政府はGX用に開発している液化天然ガス(LNG)エンジンは、他の用途も念頭に研究を続けることを決めており、IHIは10年3月期に損失を一括で処理するかどうかは未定だとしている。

「誠に遺憾」とIHI GX開発廃止受け [共同]

政府のGXロケット開発計画の廃止決定を受け、民間側で開発を率いてきたIHIは16日、「これまで官民共同で開発を行ってきた民間企業として誠に遺憾」とのコメントを発表した。

同社は、行政刷新会議事業仕分けや政府の判断で需要の見込みがないとされたのに対し、「中型ロケットの需要は十分あると見込んでいる」と分析。「日本にとって中型ロケットが必要であるということは、今後も強く訴えていきたい」としている。

一方、液化天然ガス(LNG)エンジンの開発が継続する見通しとなった点については「技術面、安全面、適用用途の優位性が認められた」と評価。「今後、エンジン開発を積極的に推進したい」とした。

まあIHI的には厳しい決定でしょうが…