「ひので」衛星、太陽極域に強い磁場を発見! [AstroArts]

これかなり凄い発見ですよね。

これまで、太陽の南北の極域には数ガウスほどの弱い磁場しか存在しないと考えられてきた。極域は黒点の種になる磁場が観測できる領域だが、この程度の弱い磁場では、黒点を作るにはまったく足りないのだ。黒点の発生には太陽内部に10万ガウスの磁場が必要と考えられているが、数ガウスでは10年で1000ガウス程度の磁場しか作れず、実際に黒点が生じていることと矛盾があった。

この太陽黒点の生成に関わる矛盾が「ひので」によって解決された。高い分解能を誇る「ひので」の観測から、太陽の極域全体に斑点状の強い磁場(強磁場斑点)が発見されたのである。

強磁場斑点は黒点に比べると大きさが10分の1以下と小さく、寿命も(黒点が数日から数か月であるのに対し)約10時間ととても短い。しかし、その磁場強度は黒点並みの1000ガウスもある。1000ガウスあれば、10年で黒点を発生するのにじゅうぶんな10万ガウスの磁場を作り出せる。

さらに、強磁場斑点から伸びる磁力線は、とくに表面付近でラッパ状に広がっており、惑星間空間に広がる高速太陽風は、これらのラッパから来ていることもわかった。

高速太陽風は、アルベン波によって加速されているという説が有力視されている。横波であるアルベン波はエネルギーが衰えにくいため、太陽表面で発生した波動エネルギーをコロナ上部まで輸送することが可能で、「コロナ加熱」(参照)に重要な役割を果たしていると考えられている。

「ひので」衛星、太陽極域に強い磁場を発見! [国立天文台]

こちらの公式リリースには観測データから作成された動画もあり。

国立天文台を含む日米欧国際研究チームは、太陽観測衛星「ひので」に搭載された可視光・磁場望遠鏡により、これまで困難であった太陽極域の磁場の観測を行い、太陽の極域には、黒点並みの1000ガウスを超える強い磁場が存在することを発見しました。この成果は、「ひので」衛星によって鮮明な太陽極域の画像を取得することに、世界で初めて成功した結果もたらされたものです。観測の結果、今回発見された磁場は、斑点状の形状をしており、太陽の極域全域に存在します(図参照)。これらの斑点状磁場は、大きさと寿命が黒点に比べて非常に小さいという特徴があります。「ひので」衛星による観測結果が明らかになる前は、太陽極域には広がった弱い磁場しか存在しないと考えられていました。つまり、今回の研究成果は、これまでの太陽極域に対する認識に変更を迫る極めて重要な結果と言えます。

PDFの方にも詳しい解説あり。これまでにない解像度で極付近を観測した結果、従来の予測より強く小さい磁場斑点が存在しそこから沢山の弱い磁力線がラッパ状に広がる形で伸びてるのが発見され、つまりこれは太陽風発生と黒点発生のメカニズムを解決するものらしい。ところでこの磁力線の構造図、ロケットエンジンノズルみたいですね。そういう事なんでしょうか? 違ったらすみませんw
そして極域の黒点の素を直接観測出来るようになったという事は太陽活動の予測、ひいては地球の長期的な気象予測とかにも繋がりそうで色々期待が膨らみます。