ウーメラ砂漠に「サクラサク」ために [JAXA]

今週も引き続き順調な「はやぶさ」。

今でこそ満身創痍の「はやぶさ」も、イトカワに到着するまでは、ピッチピチに元気で、イオンエンジンを2台、3台同時にブン回して飛んでいた。「はやぶさ」はイオンエンジン運転の細かい調節については自分自身で行なう機能を持っていて、その運転結果を地上に報告してくる。しかし、その自己申告値には数%の誤差があった。イオンエンジン加速度の数%という大きさは、通常の探査機で発生する加速度誤差の約100倍に相当する。惑星間探査機の軌道決定というのは非常に高い精度で加速度をモデル化しておくことが必要で、それこそ「探査機にあたる太陽の光によって発生する加速度」の誤差をどれだけ抑えられるか、という世界である。だから、その100倍も大きな加速度誤差が複雑に変化しながら存在すると、とてもマトモな軌道決定は出来ないのだ。

旅路も終盤にさしかかると、傷ついた「はやぶさ」に負担をかけぬよう、イオンエンジンと衛星姿勢を極めてデリケートに調節して運用するようになった。これが結果的には加速度を安定化させ、イオンエンジン運転中の軌道決定が可能になった。「はやぶさ」の羽ばたく力が弱ってきたことが、軌道決定には有利に働いたのだ。複雑な心境であった。

従来の探査機のように化学燃料スラスタで数分〜数10分と比較的短時間で完了する軌道変換と比べると、イオンエンジンのように何千時間も連続的に増速し続けることには相当神経を使うことが伺えますね。
あと帰還ミッションパッチとリーフレットも上がってます。