「はやぶさ」カプセル、超精密作業で分析 [読売]

開封には、1〜2週間かかる。まず汚れをふき取り、カプセルを解体し、中央部の密封容器を取り出す。容器を徹底的にきれいにしたうえで、さらに高性能のクリーンルームに移す。ここは、入る人が化粧も整髪料も禁止される特別な部屋。人は手を触れず、自動開封装置で容器を開ける。

さあ、何が入っているのか? 開けたら分かりそうなものだが、実は簡単ではない。入っているとしても、肉眼では見えないほど小さな微粒子と考えられているためだ。同機構の吉川真准教授は「微粒子は、直径0・01〜0・1ミリ程度だろう」とみる。研究者らは、顕微鏡を見ながら、遺伝子操作で使うような極細の針を操り、その先に静電気で微粒子を吸い付ける。

苦労の末、微粒子を見つけても、喜ぶのはまだ早い。それが本当に小惑星イトカワ」で採取したものかどうかを確かめねばならない。そのために、はやぶさを組み立てた時の宇宙機構内の空気や、オーストラリアでカプセルが着陸した場所の土などを採取してある。容器内に入り込んだ可能性があるからだ。これらの物質と比較して、微粒子が「やはりイトカワの砂だ」と最終的に判断できるまで数か月〜1年近くかかるという。

こうした最初の段階は、日本の分析チームが担う。大型放射光施設「スプリング8」など最先端の技術で、微粒子の構造や、イトカワが出来た年代などを調べる予定だ。同機構の安部正真(まさなお)准教授は、「何回もリハーサルをした。準備は万全」と、自信を見せる。

ただフタを開けて中を見るというだけの作業ではありません。微粒子サイズのわずかな試料も見逃さず、かつ試料汚染を防ぐためにめちゃくちゃ慎重に進められます。ちなみにCTスキャンは主にカプセル内部構造の健全性を確認するために実施されるものなので、そこまで細かくは調べません。

その後の「はやぶさ」カプセル [KU-MA]

こちらに的川先生の解説もありますが、フタを開けるだけでも一苦労二苦労なのが伺えます。