全面鏡張りで太陽光はね返す、水星探査機完成へ [読売]

おおー、「BepiColomboベピコロンボ)」!

 2014年夏に水星へ旅立つ探査機の試作機が、相模原市宇宙航空研究開発機構でほぼ完成して、全面鏡張りの風変わりな機体が姿を現した。

 水星は太陽に最も近い惑星で、地表温度は約450度に上る。熱対策が最大の課題で、鏡はその秘密兵器。強烈な太陽の光をはね返すことで、計算では鏡の表面を160度、観測機器が搭載された機体内部を60度以下に抑えることができる。

 機体は幅約1・8メートルの八角柱で、翼のような形の太陽電池パネルはない。側面にぐるりと巻かれた3本の黒い帯が太陽電池だ。同じ面ばかりに光が当たって過熱しないよう、機体は回転し続けるが、どの面が太陽側を向いても発電できる。

 10月には、オランダで熱対策が有効か試験を行う。強烈な光と熱を発する「疑似太陽」を使い、水星と同じ熱に耐えられることを確かめる。成功すれば、実際に打ち上げる機体を来年6月ごろから製造する。

 探査計画を率いる早川基(はじめ)教授は「水星探査は、熱との闘い。そのための様々な工夫を詰め込んだ。この機体で、世界一の研究成果を上げたい」と話している。

これは熱構造モデルでしょうかね。BepiColomboは欧州ESAとの共同ミッションで、ESAの開発した輸送モジュール&「MPO」にくっついて水星周回軌道に入った後に日本が担当するこの「MMO」が分離されます。MMOは磁場の観測に重点を置いている探査機で、MPOは地形観測などがメインとなっています。水星は月よりちょっと大きい程度なのに磁場がある不思議な惑星で、メカニズムには諸説あるようですが日本はその辺を掘り下げて観測することになっています。
あと水星は太陽に超近いので(0.38天文単位くらい)地球近傍の10倍以上の光量を受けるため熱設計もかなり頑張っているそうで、そのためにこういう傘を巻いたような構造になっています。この機体はその熱に耐えられるかどうかを試験するための試験機です。試験がオランダで行なわれるのは共同ミッションである関係でしょうね。役目を果たした後は多分相模原か筑波か種子島で展示されそうですね。

ちなみに打ち上げロケットはソユーズもしくはアリアン5、2014年打ち上げで片道6年。つまり水星について観測を始めるのが10年後の2020年という。水星行くのって凄く大変なんですよね(土星に行くのと同じくらいのエネルギーだとか)。