ISAS相模原キャンパス特別公開に行ってきた 2010.07.30
書き終わった! 寝る!
はい、今回は「はやぶさ」再突入カプセルの展示をはじめとしてネタが盛りだくさんなのでいつもより気合入れて始発の電車で出発です。てかその頃既にカプセル展示の方には列が出来始めていたそうですよ。どうなるのコレ。
中の人との受け答えは主に記憶を頼りに書いているため、実際のニュアンスとは異なる場合がありますのでその辺りはご了承ください。
09:00頃 相模原市立博物館
ちなみに開館は09:30ですが、ものの数分で自分の後ろに数百人ぐらい人が増えてました。というかもうすっかり人だかりに埋まってしまって周りが見えない。暑さが懸念されていましたが、時折小雨がぱらつく空模様でわりと涼しかったのが救いです。
直上をどこかのヘリが低空飛行しています。うるせえwww
10:10 カプセルとご対面
感無量とはこの事です…。カプセルは素晴らしい保存状態で眩く輝きを放っていました。あいつがイトカワまで行って帰ってきたんだぜ。スケールでかすぎて頭が追い付かずにひたすら食い入るように見ていた気がします。満身創痍の「はやぶさ」が最期に遺したカプセルは本当に綺麗で、まるで「卵」のようでした。そしてそれを見事守りきった前面ヒートシールドはまんべんなく焼き上がった中華鍋というか土鍋でした。背面ヒートシールドは素材の貼り合わせ部分の分厚いところだけが焼け残った感じ。実際の所ぼろぼろなんでしょうけど、こうして見るとこれも焼け方が綺麗なんですよね。設計がしっかりしていた証ですね。
ちなみに中は安全面や機密面を考慮し撮影禁止でした。むしろそうでもしないとあの行列はどうにもならないですしねw
10:20 川口先生の講演会
案の定会場は溢れ、通路のモニタに人だかりが出来ていました。なんか音が小さくて聞き取りにくいですがスライドを見ながら脳内補完。
2回目はターゲットマーカーから2〜30mほど離れた地点にタッチダウン。
シグナルロスト。
指向性アンテナに切り替わっていたので、簡単に復旧出来ない。
いわゆる神頼み。人事を尽くして天命を待つ。
1bit通信。
光圧による太陽指向の姿勢制御。これについてはちょっと別のネタを後ほど。
「こんなこともあろうかと」のクロス運転。なんと危惧していたロックアップが実際に一度起きてしまったが、電源担当者はやっと実験出来たとばかりに喜んでいた。あまり変態変態言うのもネタっぽくてそういう事は今まで言いませんでしたが、これは本当に変態ですね。
熱に対してもシビアな運用に。
不具合、課題であることを忘れてはいけない。
BlogなどではTCMは一見順調そうに見えたが、実際には色々と問題も起きていた。テストしてみようと言ってやってみたら案の定。しかし、ぶっつけ本番なのでこれも面白いデータ取りだと喜んでいる人がいそうです。國中先生とかw
力尽きつつも送り届けてくれたラストショット。これについても後ほど。
オーストラリア空軍施設内にリアルハヤブサが飛来。いやいやいやいやマジですか。
発見直後のヒートシールドの画像など。これ初見ですよね? 展示されてる前面ヒートシールドには黒こげ部分が茶色っぽく見えましたが、光の加減とかでしょうか。
「はやぶさ」のヘソの緒。後ろには張り紙らしきものが見えますね。
「やってくれるじゃないか」「もし手書きだったらただじゃ済まない」先生wwww
NASAの報道ではスターダストの優位性を強く主張し、タッチダウンの部分はスルー。これだけナンバーワンの部分にこだわりを見せる。
「一方、日本では」会場爆笑。
パラシュート。レーダーで捉えやすい素材が使われているらしい。
サンプルキャッチャーの引き上げが行なわれているところ。
「はやぶさ」ミッションとは。
講演が終わって大拍手が聞こえたんですが、その直後にモニタ横のドアから川口先生が出てきてここでも大拍手w 完全に不意打ちでした。まあ確かに出てくるとしたらそこからですがw 皆に囲まれて階段を上って行かれました。
12時頃、道路を挟んでキャンパス敷地内にまでカプセル見学の列が伸びてました。なんかもう凄いですね。
生協に立ち寄ってイカロス君グッズなどをゲット。発売したばかりの「はやぶさ」関連本も平積みされていました。めっちゃ混んでました。
「はやぶさ」ブースは中庭まで行列が伸びていました。他の所を先に回ることに。去年来た時は来年はお祭り騒ぎになってるといいなとか言いましたが、いやあ実現しちゃいましたね。
「かぐや」ブース
次期月探査計画。2015年頃に狙っているのはやはりSELENE2のようです。丸ごと着陸案と、周回機を残す案の2つがあるそうです。周回機あり案では、周回機には着陸機との通信を中継する機能や「かぐや」より高精細な光学センサでローバーの活動を補助することも検討されている模様。
月面ローバの一例。足場の固い場所では踵で立つように接地面積を減らして走破性能を上げる機能も考えているらしい。
1/6スケール着陸脚モデル。
当面はリチウムイオン電池をメインで考えているらしい。
同じくトリウム分布。
スペクトルプロファイラによる全球画像の試作品。
マルチバンドイメージャでクレーター内部を根掘り葉掘り。
全球の磁気異常画像。主に裏側の衝突跡で顕著。
地形カメラ画像。
シャックルトンの別アングル画像。
IKAROSブース
いくぞー。
早速目に飛び込んできたのは大勢に取り囲まれて、というか埋まって、にこやかに喋っている森先生。
打ち上げ準備作業の様子。推進薬HFC-034aは20kg搭載されているようです。
軌道上での膜面展開の様子。実に素晴らしい。
宇宙塵の検出にも成功しているようです。これは感圧式センサのような技術とのこと。軌道決定精度は「はやぶさ」「あかつき」に比べ約10倍。
スラスタの配置。姿勢制御とスピンアップ・ダウンでの運用方法やその実績一覧など。
各膜面を繋いでるのはマジックテープ。展開はまかせろーバリバリ
液晶デバイスは既に定常運用に組み込まれているそうです。近くのスタッフの方とお話。
−木星探査を実施する場合、木星オービターの電源はどうするか
難しいところ。薄膜太陽電池を展開するなどが考えられる。
−IKAROSの膜面はけっこうピンと張ってるように見えるが
思ったよりシワが出来た
−軌道が金星軌道にまで近付くと加速性能や液晶デバイスの性能はより発揮される?
されるのでは。まだ遠日点を過ぎたあたりなので、先日の実験は不利な条件で行なわれた。太陽角による断面積や距離の二乗で変化する。液晶デバイスは太陽角最大で最も力が出るが、軌道変更などのミッションもあるので。
−仮に推進剤が切れて太陽電池に光を当てられなくなった場合、半年後ぐらいに再補足することは
出来ると思う。
−8月頃にIKAROSと通信出来ない期間が発生すると聞いたが
1日とかでは戻らないだろう。通信出来ない間はIKAROSが自律的に機体を制御する。
IKAROSプロトモデル。これほどのものが非常に正確に織り込まれ、また宇宙空間でスムーズに展開されるとか、ちょっとつっかえてもアウトなだけに相当作り込んだでしょうねえ。
先端マスと、その中に収められたメッセージプレート。
イカ帽?
ソーラーセイルゲーム。ああこれ地味に面白そう…
また近くのスタッフの方とお話。
−イカロス君はどのようなきっかけで?
チームのみんなと話しあって。
−けっこう恐れ多い無茶振りもあるが、あの、その、やってる人は無事なのか
まあ(笑)
−やはりそのあたりの部分は機密?
知らないほうがいい事も(笑) ところでイカロス君グッズの方は?
−バッチリ。売り切れる前に確実に購入。
薄膜太陽電池。
小型機器類。DCAMブラザーズもいますよ。
隙を見て森先生に突撃。
−スラスタの推進剤が無くなった場合、液晶デバイスだけで姿勢制御はやはり厳しいか
平均して1日あたり1°必要だが、ちょっと足りないかなという感じ。「はやぶさ」はスピン安定時に光圧だけで姿勢制御をしていたが、IKAROSでもそれは出来る。(出来るんですか?とのリアクションに)出来ます(断言)。ただし膜面のシワによる誤差があるのでそこが難しい。
−現在のIKAROSのセイルの強度でどれくらい大きくできるか
セイルが小さいとスピンレートは高くないといけないが、大きくするならスピンレートは低くていい。なので必要な強度はそんなには違わない。50mにもできる。
あとは、ソーラーセイルでスイングバイする場合の話も。これもスピンレートを上げてやれば出来るとのこと。この後森先生は17時ぐらいまで喋っていたのを確認しました。スタッフの方が見に来て森先生「あれ、もう片付け?」「いや、(話を)聴きに来ただけです」。
ぐるぐるー
オーストラリアでカプセル回収時に活躍した方向探査用アンテナの実物。
宇宙農業ブース
カイコの幼虫。モリモリ食ってます。
↑を材料に使った焼きたてクッキー。主に若い人は警戒感丸出しでしたがw、普通の味でした。あとこれを食べた人限定で高級材料の化粧品サンプルみたいなの配ってました。セールストークがなんか笑えたw
電気推進ブースは明日限定。聞きたいことあったんだけど残念。
IKAROSのセイル膜フライトモデル(スペア品)
目に飛び込んだ瞬間「でけえー…」と思わず口走りました。液晶デバイスが付いたり消えたりしているのもお分かりいただけると思います。てかそこんとこど忘れしたままカメラ振り回してたんですが、なんとか納まっていてホントよかったですw ええ、フライトモデルなので勿論これと同じものが今実際に飛んでるわけですよ。イカロス君がどや顔になるのも頷ける話でありましょう。
振動実験みたいなの。ぷるぷる震えてます。小動物か。
小型科学衛星SPRINTシリーズブース
奥にあるのは観測衛星ASNAROの熱構造モデル。現在試験中のものだそうです。SPRINT-Aの音響試験は筑波で実施。右は月着陸実験機SLIMの試作品。丸い部分はタンク。スラスタは「あかつき」にも使用されたセラミックスラスタを配置した構成で考えているそうです。重量は約400kgで、イプシロンによる打ち上げを想定。小型ローバを搭載して「あの穴」付近の探査を狙ってるとか。ちなみにSPRINTシリーズ3号機目狙いらしい。SPRINTといえば小型共通バスが目玉ですが、SLIMの構体はオリジナルでコンポーネントは共通品を使うそうです。
あとSELENE-2とは技術的に共通している部分もあるがミッションとしてはあまり関係しておらず、こちらは宇宙研として実施したいとおっしゃってました(まあSELENE-2は現状では政治に左右されてる部分がありますしね)。メンバー的にはSELENE-Bから半分ずつ分かれた感じだそうです。個人的に超期待している旨をお伝えしました。
え、SPRINT-Aにデブリ除去システム載せるんですか? コレの話も聞いとけばよかった…。
第5会場。相変わらずお祭り会場って感じですね。
固体ロケットブース
ここが最も雰囲気が濃かったですw
リフトオフ時の音響と分離時の衝撃を緩和するため色々研究中とのことで、例えば分離機構を非火工品にすることで急激な解放を緩和し衝撃を和らげるなど。音響データはNASAの実験データを使ってたら精度が不十分なのでJAXA全体でデータ取って改善していこうと。
シミュレーションブース
イプシロン(先細タイプ)の流体シミュレーション。
H-IIBのシミュレーション。
M-Vのシミュレーション。
大隅半島ご当地ドリンク。歩き回ってうなだれているところにこれを飲むとスカッとします。
あと風洞ブースも明日限定でした。
外に出ると晴れ間が見えていました。気温上昇中。
名物となったM-V-2。
2段目は実際に燃焼試験に供されたものです。
「あかつき」ブース
ペーパークラフトゲット。
「あかつき」は約1時間毎に各波長域のセンサで撮影を行ない、一日あたり100枚弱の画像を地球に送信するそうです。地表面の状態を観測することも出来ますが、雲による乱反射がどうしてもあるので解像度は100〜1000m単位のオーダーらしい。火山の状態などを観測。雷を観測するセンサはもう本当に雷が発生してるかどうかだけ分かる最低限のレートで観測。
奥に金星の模型がありますが、この天井にぐるっと張り巡らされてるコードの楕円が「あかつき」の軌道に相当するそうです。
「はやぶさ」ブース
『はやぶさ君の冒険日誌』の冊子はこども優先。
とりあえずターゲットマーカーをフラッシュで光らせる。
「はやぶさ2」の紹介パネル。去年は衝突機との2機構成案でしたので、最新のものに更新されてます。
「IES兄が解説します!」
え? もしかして「はやぶさ」の横に仁王立ちで熱く語ってるのがIES兄さん?
「基本的に熱を逃がしたくないところは金色、逃がしたいところは銀色や黒や白になってます」
「ガンダムみたいに赤とか青とか自由に選べるわけではないです」
兄さんだ!! 今思えば百式についての見解も伺っておけばよかったです。
−ラストショット撮ったセンサは
この横に付いてるもの。底面のカメラは使えなかった。
−送信する時はまた姿勢の変更を?
HGAじゃなく指向性の緩いアンテナ(MGA)でそのまま送信。そして最後は山に隠れてしまったのでここで通信が途切れた。
−この力尽きた感じがいいですよね
科学者的にはちゃんと補正した画像がいい! 背景の宇宙空間の黒とかに合わせて正確に補正している。野暮だとか言われるかもしれないが「こんにゃろう!」である。元画像と併せて楽しんで頂きたい!
−もちろん。こっちも綺麗に仕上がってますよね。
こっち(スミア)が「はやぶさ」が見た光景、こっち(補正)が見せたかった光景。
ああ。まさに兄さんだ。他の人のレポによると昼間は誘導にかかりっきりで大変だったようですが、この時は解放されたかのように怒濤のトークを展開していました。ちなみに31日はイオンエンジンブースの方におられたようです。
有人月探査計画
これJSPECの管轄なんでしょうか。アメリカ抜けたらどうなるんでしょう。