HTV2号機の全機結合完了、打上げに向けた最終準備段階へ [JAXA]

10月29日、種子島宇宙センターの第2衛星フェアリング組立棟(Second Spacecraft and Fairing Assembly Building: SFA2)にて、宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle: HTV)2号機を打上げ形態に電気的・機械的に結合(全機結合)する作業が完了しました。

HTV2号機は、結合後の総合的な機能確認を目的とした全機点検を行った後、推進剤の充填作業、衛星フェアリングへの格納作業など打上げに向けた最終準備段階を経て、2010年度冬期にH-IIBロケットに搭載され、種子島宇宙センターから打ち上げられる予定です。

予定通り全モジュールが結合されたようです。打ち上げまであと2か月といくばくか。こちらに結合作業の高解像度写真が1枚上がってました。

金星探査「あかつき」、セラミックで寿命延長 住友重、バネでカメラ機能維持 日本の宇宙現場 光る企業群(3) [日経]

 燃料のヒドラジンなどの燃焼ガスは、セ氏2500度にも達する。そのため、従来のスラスターでは、ニオブ系の合金材料を使い、表面はシリカ系の材料を被膜するという工夫がされていた。

 ただ、合金も被膜技術も米企業の技術。スラスターを1つつくるのに1年以上かかるなどの問題があった。日本製への切り替えが喫緊の課題だった。

 新たな特殊金属を開発するかどうか検討した際、三菱重工は同じく高温に耐える必要のあるガスタービン用のセラミックを京セラが開発していたことを知る。これをスラスターに適用してみてはどうだろうと研究開発に取り組んだ。

 宇宙空間を漂う粒子などの宇宙ごみがぶつかっても割れないかといった試験をして問題ないことを確認。燃焼ガスを絞り込む部分など設計を工夫した。完成した世界初のセラミックスラスターは、耐熱温度は従来品より200度上がった。その結果、燃料の燃焼を効率化でき、燃費性能は2〜3%良くなったという。

 探査機や衛星の寿命は事実上、燃料の量で決まる。「2〜3%の向上で10年の寿命を1年延ばすことができる」と三菱重工長崎造船所特殊機械部の古川克己主席プロジェクト統括は強調する。費用も従来品の3分の2程度で済み、製造期間も半分になるという。

セラミックスラスタパネェ。

 打ち上げ時、カメラは常温にさらされる。一方、宇宙空間ではセ氏マイナス200度近くで動くことが求められる。鉄道のレールが夏になると熱で延びて調整が必要になるように、「地上でカメラをがっちり組み上げてしまうと宇宙空間では収縮して壊れてしまう」(住友重機械量子機器事業部設計部の平林誠之部長)。

 そのため、地上ではレンズなどの部品を緩やかに組んでおく。かといって緩すぎると打ち上げ時の振動でばらばらになる。バネのような機構で接続するという絶妙な工夫をしている。

なるほど。ちょっと違いますがロケットエンジンなんかはパーツ同士寸法ピッタリに作ってあるから冷やして体積を縮めてから組み上げたりしてますね。ただ頑丈にすればいいというものではないのが難しいところです。

 金星観測では一定時間、太陽光が届かない時間がある。そうした時は、古河電池リチウムイオン電池の出番だ。小惑星探査機「はやぶさ」に搭載されるなど実績があるが、今回搭載した電池はさらに性能を上げた。

 「電解液の組成や添加剤を加えるなど改良した」と古河電池宇宙技術グループの大登裕樹主任は打ち明ける。劣化しにくい性質は、はやぶさ時に比べて2倍、エネルギー密度も3割向上した。エネルギー密度の向上は小型化につながる。電池の重量を減らせば、その分、他の機器を積むことができるという利点がある。

古河電池さんも更に腕に磨きを掛けているようです。