第24号科学衛星(PLANET-C)「あかつき」の金星周回軌道への投入失敗に係る原因究明及び今後の対策について [JAXA]

大変詳しい資料がアップされています。想定される事象全ては逆止弁(CV-F)の閉塞によるものだと特定したようです。その原因としてはシール部の異常、クリアランスの悪化、生成物の噛み込みなど、まあ色々有り得ると。逆止弁の概要図も載っていますがその構造は極めて単純です。バネ仕掛けで、ヘリウムの流れに合わせてシュコシュコ動く感じです。

これが1割程度しか解放されていない状況だったと。何らかの方法でこれを再び解放するか、あるいはその流量に併せて酸化剤側の流量を調整するか…と言っちゃみましたが出来るかどうかは当然知りません。

HTVクラスになるとこの逆止弁が並列化されてますが、これはこれで「開きっぱなし」が発生し得るので絶対安全ではないと。
推定される推進剤供給量は噴射開始から約80秒後までは燃料リッチを保っていますが100秒以降は酸化剤リッチになってしまうようです。またシミュレーションの結果、加速度の減少は推進剤供給量の減少を考慮したものと一致したようです。6月に軌道上で実施したテストマヌーバでは燃焼時間が短かったのでこのラッチ弁が動作するほどの差圧は発生しなかったらしい。地上試験は同一設計品を用意し、燃焼試験は2月〜3月にかけて実施する予定になってます。逆止弁の試験は来年夏までかかるようですね。
ちなみにこの逆止弁、当然酸化剤側にも使用されていますがこちらに問題は起きていません。また「のぞみ」と同一視されがちですが、のぞみの時に不具合を起こしたのはラッチ弁で、逆止弁は問題なく動作しています。また今回ラッチ弁は酸化剤側のみ使用(並列)されており、やはりこちらも正常動作しています。

メーカーについてはMHIが採用しているものなのでJAXA側からは言えないそうです

燃料系バルブ故障が根本原因=主エンジン逆噴射中断に−あかつき失敗・宇宙機構 [時事]

 このバルブ(米国製)は、燃料をタンクから押し出す高圧ヘリウムガスの配管にあり、燃料の逆流を防ぐ役割がある。宇宙機構はバルブが故障したメカニズムや、エンジンの燃焼に与える影響を解明するため、来年7月にかけて地上で再現実験を行う。

時事は米国製と書いちゃってますが。

あかつき:燃料1割しか流れず [毎日]

 金星探査機「あかつき」の軌道投入失敗を調査中の宇宙航空研究開発機構JAXA)は27日、原因と断定した逆流防止弁の不具合により、逆噴射のための燃料が予定の10分の1しか流れなかったとの分析結果を発表した。

いやいや、1割というのは燃料タンクに圧力をかけるヘリウムタンクへの逆止弁が開いていた割合で、燃料はそこまで塞き止められてないですw 噴射開始から100秒後付近で燃料と酸化剤の割合が逆転した程度。