平成23年宇宙開発委員会(第4回) 議事録 [宇宙開発委員会]

H-IIB2号機、IKAROSなどについて。

 H−??Aも含めて、SRB−Aは今まで46本飛びました。このスラストストラットというのは1本当たり2本ついていますから、その倍の92本が、そういう分離をしていたのです。今までのデータを見る限り、多分今回初めて左右で遅れが少し出たと、そういう現象でした。
 ただスラストストラットは、引っ張り強さが1,100キロニュートンですから、昔の工学単位で110トンぐらい力をかけないと切れませんので、あれが分離したということは、火工品は、あの予定の時刻にきちっと作動しているのですけれども、抜けるときにどこかが少し引っかかったかどうかというようなことを、今、考えております。

少なくとも火工品はちゃんと動作していたようです。


IKAROSについて。

JAXA(森)】 1点、まず補足させていただきますと、金星は一つのターゲットとしておりますが、金星の特定の位置を通過したということで、金星に特別な意味があるわけではありません。ちゃんと各ポイントで、我々、ターゲットを設けていて、そこに対して、ちゃんと制御できているということは確認できています。金星は一番大きな目玉になるので、そこを今回、御説明させていただいたというわけで、ポイント、ポイントでちゃんと評価をしております。
 データについては、一通りはうまくいっていますけど、まだ、今後の解析の余地を残しております。特に、後期運用で期待できるとした項目としては、今、お話ありましたように、距離が変わるということとか、ミッションの期間が長くなるといったこと、そういったところも後期運用で、データがさらに加われば、よりよい解析につながっていくと考えております。

JAXA(川口)】 帆の角度をこういうふうにすると、こういうところにちゃんと通せますということは、ちゃんとわかりました。帆の向きを変えることに関しては、ちょっと話があったかもしれませんが、今は「IKAROS」のガスジェットを使うように設計されているのですけれども、液晶の装置を使うことでも、光をもって光を制するというのですかね、そういう制御ができるということが実証されたということです。

【井上委員】 実際、制御しながら動けばいいのかもしれませんけど、ある精度の中に入っているというのですか、量的にちゃんと、木星まで行くときにもやれる範囲に入っているというような部分はどうなのかなと思ったものですから。

JAXA(川口)】 答えはイエスです。

【井上委員】 わかりました。

木星行きのために必要な精度のハンドリングを達成したそうです。やった!

JAXA(川口)】 よろしければ、今日、宇宙開発の現状報告の海外の動向のところで「NanoSail」の話があると思うので、我々が退席してしまう前にコメントをしておいた方がよろしいのかなと思います。
 「NanoSail−D」というのは、1度、搭載された衛星からの放出ができなかったと思われていたものが、報道の書き方によりますけれども、原因はわからないですが、自発的に開いたという報道があります。大きさの小さいもので100スクエアフィートといいますから、3メートル四方ぐらいですね。そのぐらいの大きさであるということであります。
 「IKAROS」は文字どおりソーラーセイル、光子推進で太陽の周りを回っていますが、「NanoSail−D」は、そういう意味では、初めて地球の周りを回ったというのがうたい文句になっているようでございまして、その点は「IKAROS」とは随分違ったものでございます。

【池上委員長】 最初、「NanoSail」は、通信回線が途絶えたと言っていませんでしたか。

JAXA(川口)】 「NanoSail」は、アマチュア無線家がデータを受信して、そこまででございます。あとは写真で撮ろうということ呼びかけています。

なるほど、アマチュア無線家も動員して電波をキャッチしたんですね。