10/1710:45:30: 小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」の逆スピン運用実施について [JSPEC/JAXA]

うおっ!?

 IKAROSでは,2010年12月の定常運用終了以降,後期運用を継続しています.後期運用 での研究テーマの一つに「膜面挙動・膜面形状の変化を積極的に引き出して展張状態の 力学モデルを構築する」ことを掲げていますが,そのための一実験として,IKAROSの スピンを逆方向にする「逆スピン運用」を以下のスケジュールで実施する予定です.

 実施スケジュール: 10月18日(火)〜10月22日(土) ※日本時間
 バックアップスケジュール: 10月25日(火)〜10月30日(日) ※日本時間

 IKAROSは,スピンの遠心力によって膜面を展張し,姿勢を安定させていますが,逆スピンに移行するときに,一時的にスピンレートがゼロになる瞬間が発生するため,逆スピン運用はこれまでの運用に比べリスクが大きくなります.
 逆スピン運用の前段階として,すでに低スピン運用を実施しました.これまで1rpm (1分間に1回転)以上を維持してきたスピンレートを最小0.055rpm(1分間に0.055回転) まで低下させました.一般にスピンレートが小さくなると膜面が大きくたわむと予想されますが,モニタカメラで膜面の状態を観測したところ,予想とは一致しない状態(たわみが殆ど無い状態)も見られ,力学モデルの構築のための貴重なデータが得られました.
逆スピン運用を実施することで,膜面挙動・形状についてさらに理解を深めるためのデータを取得する予定です.

ついにやるのか! というか狙ってやってくるとは思ってませんでした! このまま推進剤が枯渇して徐々にスピンレートが下がるのを待つばかりなのかと思っていましたが、なんと積極的に攻めに行くとは。これは鳥肌が立った。
IKAROSの膜面はスピンレートが極小になった状態でも安定していましたが、回転軸のブレが発生したという話でしたのでここをいかに乗り切るか、そして逆方向への回転が始まったとして今度は風車効果がどのように作用するか。全く未知の領域ですが非常に興味深いところです。かなりリスクがありますが、どのような結果になるにしろこれによって大きな知見を得る事に違いはありませんね。


toi toi toi!