IKAROS、逆スピン成功!

イカロス君も緊張の面持ちであります。


だれうま。しかしテレメ通ったのは幸先よし!


そうです。今もあの先端マスには自分も含めみんなの名前が載っています。さあ回れ!


お!?

小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」の逆スピン運用実施結果について(速報) [JSPEC/JAXA]

◆逆スピン実施結果(速報):


 逆スピン移行のためのスラスタ噴射を、7時20分頃から約20分間行いました。
 膜の挙動としては、からまることもなく、うまく逆スピン状態になりました。
 逆スピン移行後のIKAROSの状態は良好であり、スピンレートは運用終了時点で約-0.24rpmです。


 なお、更なるミッション継続の可否につきましては現在評価を継続中ですが、詳細な評価には、
  1)逆スピン時に蓄積されたデータレコーダの姿勢関連データ取得
  2)今後の姿勢状態の遷移予測に必要なデータ取得
が必要であり、これらのデータ取得には、今週末頃までかかる見通しです。


 詳細評価結果につきましては、データ取得が順調に進み、解析作業が済み次第、 本サイトにてお知らせいたします。

おおっしゃああああああーー!! 逆スピンに入ることに成功です! スピンレートは-0.24rpm。マイナスですよ! っしゃっしゃ!


うむ、これは果敢に挑んで得られた「成果」です。おめでとうございます!
そして逆スピン運用で姿勢にどのような影響があったか、風車効果はどうなっているかなど興味は尽きませんが、とりあえずデータを降ろすのに日数がかかる模様。今後のミッション継続性についてもそこで評価されるようなので、じっくり待ちたいと思います。

10/1901:51:59: 今日の IKAROS(10/18) - Daily Report - Oct 18, 2011 [IKAROS-blog]

Blogの更新も来ました。

スピン型では,膜面の運動が複雑になります.IKAROSではこれまで
大型膜面展開・展張ミッション等を通じてこの運動を解明し,
シミュレーションで再現できるよう力学モデルを構築してきました.


しかし,後期運用では,スピンレートや姿勢を思い切って変化させ
膜面挙動・形状の変化を積極的に引き出して力学モデルをより正確
にすることを一つの研究テーマとしています.


これまでに,この研究テーマの一環として低スピン運用や大姿勢変更運用
を実施してきました.そして今回いよいよ逆スピン運用を実施すること
になったのです.


逆スピン運用はスピン型の基本となる遠心力がなくなる瞬間があるため,
これまで以上にリスクを伴います.膜面の引っかかり,破れ,絡まり等が
発生し,姿勢を大きく乱したり,膜面が本体上面を覆ってしまい,通信や
発電ができなくなることも考えられます(シューマイ状態やギョウザ状態
と呼んでいます).

たとえば,シューマイ・ギョウザ状態でもタイムラインコマンドにて,
適切なタイミングで,LGA1(上面アンテナ)からLGA2(下面アンテナ)
に自動的に切り替えることで,通信ができる可能性を高めていました.


このほか,スピンレートの自律制御を逆スピン用に書き換えたり,
GAPやALDN等の機器を安全な状態にし,後から悔いが残らないように
これらの観測データを極力リプロしておくといったことを行いました.

たとえ膜面がつぶれても通信できる手段を確保していたんですね。

そして,いよいよ本番です.事前になるべく低いスピンレートまで
落としておいて,速やかに逆スピン移行する計画です.
IKAROS運用室は大型膜面の展開・展張時以来の緊張感に包まれました.
しかし,イカロス君はそんな重圧をもろともせず,見事に逆スピンに
移行しました.
「成功です!」
さすがイカロス君ですね.


これでまたスピン型ソーラーセイルの可能性が大いにひろがりました.
そもそもスピン型宇宙機が逆スピンになったのは初めてかもしれませんね.


しかし,まだまだ気を抜くことはできません.
IKAROSの逆スピンの運動は必ずしも通常のスピンの運動と一致しません.
この運動を理解して安定的な運転ができるかどうかが今後の運用を
決める重要なポイントと考えています.

そういえばスピン安定の衛星を運用中に逆回転にしたという話はちょっと聞いたことが無いですね… しかもこんな巨大な柔構造物をこさえながらw なんかとんでもないことをやってのけたというのは決して気のせいでは無いはず。降りてくるデータが楽しみですね。
ちなみに15日の時点で太陽角は1.9degでしたが、今日は28degまで広がっています。スピンレート以外に姿勢制御を行っていなかったとしたら、今回の逆スピン運用でこれだけの変動があったという事でしょうかね。