平成24年宇宙開発委員会(第2回) 議事録 [宇宙開発委員会]

JAXA(藤田)】 はい、一つ目のロングコースト技術については、大きく二つあると考えています。まず、2段エンジンは極低温の液体酸素、液体水素を使った推進システムですので、5時間程度飛行する場合、それらが蒸発しますし、エンジンを冷やすために消費してしまう液体酸素の量等が従来に比べて格段に大きくなります。それらをいかに節約して、最終的な遠地点での着火まで持っていくことができるかということが改良点です。具体的には、9ページの絵にあります上側の水素タンク表面は、PIF(ポリイソシアヌレートフォーム)と呼んでいる断熱材で、カキ色のそのままの地肌ですが、それを白く塗って入熱を防いだり、また、エンジンを冷やすための液体酸素も少ない消費量で済むような仕組みをつけたりというような改良を行います。
 二つ目として、いろいろな搭載アビオニクス機器等がありますが、ロングコーストでは、長時間宇宙空間を飛行しますので、熱や放射線が従来に比べると格段に厳しくなりますので、それらの耐性も上げるなり、評価していくということが必要になると考えています。
 2段エンジン再々着火技術については、燃料等の節約はしますが、最終的に遠地点に行った時点でかなり少ない状態です。その少ない量でもって、かつ、有効にその推進薬を使うために60%スロットリングという、定格の6割程度の推力でもってエンジンの3回目の着火を行えるように、エンジンの改良を行います。

あ、やはりあのイラスト通り液水タンクは断熱材を白に塗装するんですね。遠地点で軌道傾斜角を変更するために行う再々着火は60%スロットリング