突如出現した未知の赤外線天体: 赤色巨星からの突発的質量放出の瞬間か? [ISAS/JAXA]

そこで研究チームは、次のように考えました。IRAS の観測は 1983 年に行われ、2MASSは1997〜2001年、「あかり」は2006〜2007年、WISEの観測は2010年です。この天体は、1983年から2000年前後までの間に、赤外線で急激に明るくなり、その後ゆっくりと暗くなっているのではないか。しかも単に暗くなるだけでなく、より長い波長の赤外線を放つ、すなわち温度が下がっているのではないかと。

この星に何が起きているのでしょうか?研究グループの立てた仮説は次のようなものです。今からおよそ15年前にこの星から大量のちりとガスが宇宙空間に放出されました。放出された直後のちりはまだ暖かく、2MASSでも観測される短い波長の赤外線で輝いていました。ちりが星から遠ざかるにつれ温度が下がり、WISEや「あかり」で観測される波長の赤外線を放つように変わってきたというのです。放出されたちりの量はおおよそ地球一つ分。さらにその100倍以上のガスも同時に放出されたと考えられます。

凄いですねこれ。リアルタイムに恒星が朽ちてゆく様を見ているわけですよね。ベテルギウスが爆発するかもと言われてますが、太陽ほどの質量だとこういうふうにガスを放出して白色矮星に落ち着くんでしょうか。