「あかつき」がとらえた金星の温度分布 [AstroArts]

おおー!

温度を見る赤外線像(画像の明暗が温度分布を示す)から、金星のさまざまなことを見てとれる。金星像の中心から周縁にかけて温度が下がって見える、いわゆる「周辺減光」の効果を詳しく解析すると、上層の雲粒子が減少していることが示唆された。

過去の観測と比較してやや高めの温度となっているのは、実際に温度が上昇しているか、あるいは上層の雲が薄くなって温度が高い下層が覗いているものと解釈される。また両半球の高緯度に見られる低温帯状領域(ポーラーカラー)や中低緯度の帯状構造、さらにその中に見られるより小さいスケールの温度構造なども見える。両極には「ポーラーダイポール」と呼ばれる高温域がかすかにとらえられているようだ。

これらはおそらく、日本の惑星探査機による地球以外の惑星に関する初めての科学成果といえる。

中間赤外カメラによる金星夜面温度分布 [ISAS/JAXA]

 「あかつき」はメインエンジン以外は良好な状態が保たれています。早ければ2015年の暮れに次の金星周回軌道投入のチャンスが巡ってきます。周回軌道に入れば、この画像よりも格段に高解像度の画像が連続して得られると期待されます。我々「あかつき」プロジェクトメンバーは、多波長連続撮像による金星大気ダイナミクスの理解という目標を全くあきらめてはいません。それまで「あかつき」が暑さに負けず、健康でいてくれることを祈っています。

うむ、「あかつき」のこの能力が存分に発揮される日が楽しみです。