JAXA宇宙飛行士活動レポート 2012年5月 [JAXA]

今回も大西さんと金井さんからの寄稿があります。油井さんはNEEMO中。

その1つがT-38には自分たちパイロット以外、誰も乗っていないという点です。そんなの当たり前だろう、と言われればそうなのですが、これは大きな違いです。飛行機が多少揺れても、操縦が荒くなっても全く問題ないからです。旅客機では自分たちの後ろに何百人というお客様が乗っています。

反対に、T-38の方が難しいと感じるところももちろんあります。その最たるものが、自動操縦装置の有無です。一般的な旅客機には自動操縦装置がついていて、離陸以外の操縦は機械に任せることも可能です。その分、パイロットは操縦以外のことにより気を配れるわけです。その自動操縦装置が、T-38にはついていません。

訓練に使用しているT-38の話。旅客機とは違う緊張感があるようです。

「ロシア語と英語と日本語と、3ヶ国語を頭の中でどうやって処理してるんだ?」と、アメリカの宇宙飛行士から、よくネタにされますが、専門用語ばかりの授業では、無理に日本語に翻訳するよりも、英語やロシア語のままのほうが理解がしやすかったりします。

すでに2年間に渡るアメリカでの宇宙ステーション訓練で、専門的な内容を、英語で理解する素地ができているから、そう感じるのかもしれません。

それぞれの言語で考えられるようにまでなるのが1つ壁なんでしょうかね。自分は英語ですらままなりませんがw

7月から宇宙ステーションに長期滞在を始める星出彰彦飛行士は、クルーメイトのサニー・ウィリアムズ飛行士とともに、つい先日星の街入りをして、打ち上げ直前の最終訓練を開始しています。偶然なのですが、来年に飛行予定の若田光一飛行士も、同時期に星の街での訓練中で、今、星の街はとてもにぎやかです。

フライトの時期が近いのもあり3人の日本人宇宙飛行士が星の街に集まっているようです。当面はソユーズ一択になりますし、日本からのみならずロシアが賑やかになりますね。

本日は、ミッション10日目。最後の船外活動が終了しました [ISS/JAXA]

海底訓練NEEMO16が大詰めの油井さんからも手記が届いています。

私が新しいことに次々と挑戦するようになったのは、29歳の大晦日からです。その日に一年を振り返った時、1年が非常に短く感じました。24時間待機についている時でしたので、先輩パイロットにその感想を話したところ、「それは、あたりまえだ。29歳のお前にとっての1年は29分の1年(1/29年)だ。お前の子供は、まだ幼いだろ。物心がついて間もないから、その子にとって1年は、1分の1年(1/1年)で、1年をすごく長く感じているんじゃないかな?」と言われました。その言葉に妙に納得し、このまま行ったら年を取るにつれて時の流れがどんどん加速し、あっという間に人生の終わりを迎える事に気づき、恐怖を覚えました。そこで、加速していくように感じる時の流れを遅くする方法を必死に考えた上で出した結論が、新しいことに挑戦し続けることでした。子供が1年をしっかりと1分の1年(1/1年)に感じているのは、見るもの感じるものが全て新しく、日々感動に満ちているからです。

そこで新しいことに挑むというのも勇気が要りますよね。密度の濃い日々を送っておられることでしょう。

星出宇宙飛行士、ガガーリン宇宙飛行士訓練センター(GCTC)での最終試験を終了 (2012年06月21日) [ISS/JAXA]

国際宇宙ステーションISS)第32次/第33次長期滞在クルーの星出宇宙飛行士らは、ロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)にて、現地時間6月19日から20日にかけて、ISSのロシアモジュールおよびソユーズ宇宙船に関する最終試験に臨み、見事合格しました。

そして来月のフライトを控えた星出さん。試験に合格し、いよいよ最終的な承認を得たそうです。