JAXA宇宙飛行士活動レポート 2012年11月 [JAXA]

ここでは毎回あの3人組宇宙飛行士の皆さんがコラムを寄稿していて楽しみなんですよね。今回も面白いです。

一方で、更に気を付けなければいけないことは、歳を重ねるにつれて、多くの人達が自分に気を遣ってくれるようになる事です。多少の気遣いは礼儀でもあり、潤滑油の様な物ですから必要だとは思いますが、過度の気遣いは私にとってマイナスだと思っています。周囲が気を遣いすぎて、不快な情報や意見を私に言ってくれなくなったとしたら、私は不快な現実を見るどころか、それに気付く事も出来なくなってしまう訳です。当然、対策を考えることもできず、状況は悪化するばかりですね。
歴史をみれば、多くの国・組織・個人がこの間違いを犯し、衰退していきました。ツイッターでもお話ししましたが、私が自分にとって不快な情報やニュースを真剣に集めるのはこの為なのです。ですから、この日記やツイッター、或いは宇宙開発のあり方等に対する皆様方の率直なご意見をお待ちしています。私を厳しい言葉で叱咤激励して下さい!今後ともよろしくお願いします!

油井さんはツイッターを見ていても非常に貪欲ですよね。自ら探し回るに飽き足らずかかってこいやー!みたいな感じですから。あと関係ないですけど腕立て伏せの写真が一瞬澤村投手っぽく見えた。

アームの操作方法を身につけると、次に待っているのは実践に即した練習です。意外に思われるかも知れませんが、実際にISSで宇宙飛行士がアームを操作する機会というのは、実はそれほど多くはありません。大抵の状況下では、地上からの遠隔操作でアームを操作することが可能だからです。しかし、どうしても地上からの遠隔操作では限界があるケースが2つあります。1つは船外活動の支援、もう1つはISSに接近してきた宇宙船のキャプチャ(掴まえること)です。

例えば右側から左側に大きく移動する場合なんかは時間がかかりますが繊細な動きが不要なので、そういう所は自動化されていますし、船外実験プラットフォームへの機器設置なども筑波からの遠隔操作で行っていますね。しかしやはり多少のラグはあるので、リアルタイム性の求められる作業ではクルーが直接操作する必要があります。先日の星出さんによる小型衛星放出も、1回目は星出さんが操作しましたが2回目は筑波から操作してましたし、たまにクルーが操作する機会があるとそれが特に緊張感のあるミッションであるというのはなかなか大変ですねw

みなさま、こんにちは。JAXA宇宙飛行士で、“もぐり”の医者の金井宣茂です。・・・といっても、宇宙飛行士になるかわりに医師免許が失効したとか、そういうわけではありません。

…ああ、そういうネタですかw

さて、表題にも書きましたが、実は宇宙でも潜水病を起こしてしまう可能性があります。原因はいろいろありうるのですが、先月のコラムに書かせていただいた船外活動(われわれは、Extra Vehicular Activity、略してEVAと呼びます)もその一つです。

宇宙服を着こんだ飛行士は、エアロックの中で、1気圧から0.3〜0.4気圧に徐々に減圧をするのですが、この過程は、あたかも水中で加圧空気を吸ったダイバーが、1気圧の水面に戻ってくるのと同じ状況なのです。

地球上では、潜水病の患者さんが発生した場合は、特別な施設で高気圧酸素治療を行います。宇宙ステーションには、治療用施設は備え付けていませんが、変わりに、宇宙服の中に患者を入れて、酸素で加圧することになっています。高い圧力がかかった宇宙服はその後使うことはできなくなりますが、これにより潜水病治療を施すことが可能です。宇宙服を、潜水病の治療装置変わりに使えるように設計してあるなんて、さすがだなぁと感心してしまいます。

なるほど! 別名・減圧症といわれる症状ですが、宇宙服で逆に加圧することもできるんですね。この場合は何気圧くらいまで加圧するんでしょう。