イプシロン、度重なる延期を乗り越えて打ち上げ成功 甦る日本の固体ロケット(2) [日経ビジネス]

松浦さんの記事の続きが来ました。

 打ち上げ成功後、JAXASPRINT-Aを「ひさき」と名付けた。内之浦にある地名「火崎」にちなむ。内之浦湾の南側を太平洋に向けて延びる津代半島、その先端が火崎だ。その名の通り、夜明けには内之浦で最初に太陽の光が当たる。毎年正月には地元の漁師たちが漁の安全を祈願する聖地でもある。

 「ひさき」のプロジェクト・マネージャーである澤井秀次郎JAXA宇宙科学研究所准教授は、「イプシロンもまた内之浦から旅立つ船だ。安全を祈願する意味で、衛星を“ひさき”と命名した」と語った。が、その意義はそれだけではないだろう。地元にちなんだ衛星名は、1970年の日本初の衛星「おおすみ」以来43年ぶりなのだ。そこには地元をねぎらう意味が込められているのだろう。

淡々としながらも非常に情感溢れる文体の中で特に心に残るエピソード。由来の件は既に報じられている通りですが、「ここに帰ってきたぞ」という実に感慨深いメッセージです。

商業打ち上げと技術開発――2つ未来を追えるか 甦る日本の固体ロケット「イプシロン」(2) [日経ビジネス]

そしてこちらはもう1つの記事。

 その一方で、イプシロンの打ち上げ機会をどうやって増やしていくかの方策は、必ずしも明確ではない。計画を検討していた段階では、主に科学衛星を年2回、打ち上げることを目指していた。しかし、予算が逼迫したことからその後年1機になり、2010年度にイプシロンの開発を開始した時点では「5年に3機」にまで後退した。H-IIAで打ち上げる中型科学衛星2機を含め、科学衛星を年1機のペースで打ち上げるという意味である。

 発展途上国には、雲を通して地上を観測できるレーダー地球観測衛星に強い需要がある。ASNAROはレーダー搭載が可能な設計となっている。ところがレーダーを搭載したASNAROは550キログラムと重く、極軌道打ち上げ能力が450キロのイプシロン「EX」では打ち上げることができない。「E1」が必要になる。

イプシロンは未だ開発中のプロジェクトでありますが、ポテンシャルを秘める一方で商業展開における不確定要素にもなりえます。もっとも、民間移管すらまだ先の話ですが。とにもかくにも予算ですね。開発費自体も試験機打ち上げ費用を含め約205億円。H-IIBも約262億円という安さでしたが、そちらはコンポーネントはほぼ共通していましたし元々H-IIA増強型という位置付けでした。SRB-A以外、管制システムも含めて一新しているわけで、もーうちょっとだけでも予算を増やせないでしょうかね…w