予算2.5兆円で採算がとれない!?「宇宙太陽光発電」のムダ [日刊SPA!]

えっ、そんな予算出てませんが。

 増税につぐ増税で、厳しさを増す一般庶民の経済状態。ところが、「それとは別腹」とばかりに、税金をもとに1兆円を超える巨大プロジェクトが行われている。

 その中でもスケールの大きさと採算性の疑問度が問題になっているのが宇宙太陽光発電(SSPS)という計画。

 地球から3万6000km。宇宙の静止軌道上に2.5km四方もの巨大な太陽光発電衛星を設置し、マイクロ波やレーザー光に変換して地上の受電設備にエネルギーを送るシステムだ。一施設で原発一基並み(100万kW)の発電ができるという。その予算は2兆〜2.5兆円ともいわれている。宇宙航空研究開発機構が研究を進めているが、同機構のHPで、SSPS研究計画担当者はこう語る。

「天候や季節、昼夜に左右されないので、効率よく太陽エネルギーを集めることができます。太陽光は枯渇することがなく、宇宙空間では二酸化炭素を出しません」

SSPS関連の伝送技術などの基礎研究は行われていますが、2.5兆というのはただの試算であって当然そんな事業は存在していませんし、小型実証衛星の打ち上げなどもプロジェクト化されていない将来構想の1つです。無いものをムダと呼ばれては担当者の方も苦笑いでしょう。公共事業批判記事なんでしょうが、初っぱなから空振りというか、これを真に受けて抗議する人が出ないかどうかだけがちょっと気がかりですw
現状での実現性はというと軌道エレベータと大きな差は無いように思いますし、スペースプレーンが実用化されない限りは建造は困難だろうと言われています。最大のネックは莫大な輸送コストだからです。技術的には核融合よりはずっと容易かも知れません。他方、軌道エレベータやスペースプレーンの基礎研究を批判する人はあまりいませんよね。IKAROSが代表するソーラーセイルのように、素材技術のブレイクスルーで実現性が大きく高まりますし、その恩恵は計り知れないからです。SSPSもその恩恵にあずかる1つであり、逆に言えばそれらの実現がSSPS事業化の前提です。それまでは数tクラスの衛星による軌道上実証はあっても本格的に事業化されることはないでしょう。
まあでも2.5兆といってもリニア新幹線に比べればかなり低いですね。しかもあちらはJR東海1企業ですし。実際に事業化するにあたっては民間主導で出来ない予算規模ではないかもしれません。もっとも、現状では到底身動き取れないでしょうが。