真央「最高の演技」で恩返し!フリー自己新 万感6位 [スポニチ]

浅田真央の底力を見た。

 真央、万感のラストダンス――。ショートプログラム(SP)で16位に沈んだ女子の浅田真央(23=中京大)は20日のフリーで自己最高の142・71点をマークし、合計198・22点をマーク。ほぼ完璧な演技で自身最後とする五輪を6位で締めくくった。19日のSPはミスが続き、11―12年シーズン以降最低の55・51点だった。鈴木明子(28=邦和スポーツランド)は合計186・32点で8位。村上佳菜子(19=中京大)は合計170・98点で12位だった。アデリナ・ソトニコワ(17=ロシア)が合計224・59点で金メダルだった。

 こんな浅田をみんなが待っていた。誰よりも、浅田自身が待っていた。冒頭、今大会2度のアタックで転倒していたトリプルアクセルを完璧に成功。今季初めて加点がつく好ジャンプで波に乗ると、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」の荘厳な調べと一体に。連続ジャンプで2つの回転不足なんて関係ない。フリーの142・71点は自己ベストだ。フィニッシュと同時に涙があふれた。おえつが漏れる口元を左手で覆った。大歓声に応えると、泣き顔は笑顔に変わった。

 「今まで支えてくれた方々に、最高の演技で恩返しすることができた。最高の演技ができた」

どん底のSPから一夜明けFSに臨んだ浅田選手は、なんと自己ベストを更新する会心の演技をみせてくれました。まず冒頭、3Aを降りることに成功! その後6種全ての3回転を含めたコンビネーションを次々こなし、後半も動きの衰えを見せず小気味の良いステップ、そして万感の思いを込めたフィニッシュ。第2グループの滑走とは思えないハイレベルな演技に会場は大いに沸いていました。鳥肌が立った。さすがにSPの55点から表彰台には届きませんでしたが、本当によく立ち直ってくれたと思います。メダル争いから解放されて心の重荷が取れたか? いや、むしろ取り返しが付かないという気持ちの方が大きかったのではないかと思います。失うものが何もないというのは、これ以上は本当に終わるということと表裏一体の背水の陣。むしろこれまでにない特異な状況でしたし、そんな中でフラットなコンディションで臨めたのは凄いと思いました。
フリーの得点では浅田選手は3位。基礎点では飛び抜けていたもののコンビネーションのセカンドジャンプで回転不足を取られ減点され、演技構成点で伸び悩んだ感じです。ただ優勝争いに絡まない第2グループでの早々の滑走だったこともあり、上村愛子選手の時のように採点面でのビハインドが多少生じたかも知れません。
鈴木選手は転倒などがありましたが持ち直し8位入賞。村上選手は12位にとどまりましたが、4年後に向けていいステップにできたのではないでしょうか。恐るべきはロシアの若手選手の台頭で、リプニツカヤ選手は団体出場の影響かやや精彩を欠きましたが15歳とは思えない堂々たるプログラムでしたし、17歳のソトニコワ選手はノーミスでの圧勝でした。日本のジュニア選手の強化が望まれますね。
さて、浅田選手はソチを現役の集大成としていましたが、今回は残念ながらSPで悔いの残る結果となりました。FSでその完成形を見せつけましたが、できればそれを今一度完全な形で表現して欲しいという思いもあります。もちろん簡単に引退を撤回できるかといえば、しばらくは時間が必要でしょうし、それを前提とした予定も調整する必要があります。しかしやはり浅田選手にはまだ上があるという期待感を抱かされました。


プルシェンコ選手からも3Aリスペクトが届いています。