筑波宇宙センター特別公開に行ってきた 2014.04.19


さて、本日も始発の新幹線に乗って出発です。天気は非常に良いのですが、ひんやりとした空気。なんかまた冷え込むのでしょうか? 数日前にも風邪を引いてしまいましたし、ホントこういう乱高下もうやめて欲しいんですよねえw




2日前に座席を予約したんですがその時点で既に窓際座席は完売していました。次はもっと早く買わねば…。




秋葉原にてTXに乗り換え。




9時45分頃につくば駅に到着。駅はラッシュの様相を呈しています。うむ、やはり空気が冷たく少し肌寒いです。




筑波宇宙センター到着! 抜けるような青空にH-IIのオレンジ色が映えますねえ。




さて、まずはSITE(総合試験棟)へ向かいます。試験中の衛星実機が見られます。毎回行列ができるので早めに行って整理券を確保せんとします。




うおっ、既にかなり並んでるなあ。前回までは直で来れば結構余裕あったんですが、皆さんもかなり訓練されているんでしょうかw




とはいえ整理券をもらうだけなので15分ほどで確保できました。12時20分からの回です。自分が並んだ直後に午前の分は配布終了してしまいました。かなりの人気ぶりです。




SITEの見学時間まで間があるのでそれまで他のブースを巡回です。まずはISS関係が並ぶW棟から。




うむ、ISS/HTV管制室見学もかなりの行列ができています。




内部は撮影禁止なのでラフ画で。HTV管制室にはHTVレゴが飾られていました。聞くところによると、Twitterで公開されていたレゴの図面を見た関係者の方が作成してこっそり置いたとか何とか。もちろん製品化されていないものですが、相当なクオリティですよ。




W-3棟では星出さんの講演会の整理券に大行列が出来ていました。ちなみにこの講演会はYouTubeJAXA Channelで録画が配信されています。






自分は時間を稼ぐためこちらの講演会はパスし、展示を見て回ります。ん、「静電浮遊炉」…? 何か聞き覚えが。あ、2年前の特別公開で出展されていたアレか!




うおっ、何かサイバーパンクな物体が! 中心にある22面体のチャンバ内に6ヶ所の電極で試料の位置を制御し、レーザで加熱溶融させ物性実験を行います。こちらはFMとほぼ同等のEM。静電浮遊炉であることから金属以外にも絶縁体についても重点を置くようです。
地上で浮遊を行うためにはZ軸方向に10kVほどの電圧が必要ですが、軌道上では1kVほどで済むそうです。チャンバの周囲にセンサ類や配線が複雑に組み込まれているため、クルーが組み立てる労力を削減するため構造を強化しパッケージで打ち上げ、到着したら多目的実験ラックに組み込むようにするとのこと。もちろん試料の出し入れは自動。打ち上げは2015年を予定しており、HTV「こうのとり」かもしくはドラゴンに搭載されるそうです。



こちらの動画は2年前に展示されていたものですが、今回開発された機器の概念モデルのようなものだそうです。



こちらは回収用の試料ホルダ。直径2mmの試料を収納するスペースが15ヶ所あり、振動による破壊を防ぐためテフロンのブラシ状のクッションが内部にあるとのこと。打ち上げ時の静電溶融炉の総重量は約220kg。





こちらは「こうのとり」5号機搭載予定で「きぼう」船外実験プラットフォームに取り付けられるCALET(高エネルギー電子・ガンマ線観測装置)の検出装置試作品。超新星暗黒物質のエネルギーなどを測定します。

まず左のIMC(イメージングカロリーメータ)、こちらは宇宙線に反応する蛍光剤入りの光ファイバが敷き詰められており、宇宙線がここを通過するとその方向や電荷を測定します。光ファイバ上を宇宙線が通過すると光ファイバの末端が青白く発光します。




こちらのセンサで宇宙線に反応した光を検出します。




そして右のこちらはTASC(全吸収カロリーメータ)の試作品。内部にはタングステン酸鉛セラミックが敷き詰められており、通過した放射線を吸収し粒子の種類やエネルギー量を測定。これら2つを重ねることで方向、エネルギー・種類を一度に測定することができます。打ち上げ時のCALETの総重量は約450kg。





こちらは超小型衛星放出機構。「きぼう」エアロック経由で外に出しスプリングで放出します。




こちらは2014年打ち上げ予定のExHAM。船外パレットの標準取り付け部が埋まっていたとしても、手すり部分などに取り付け可能な曝露実験用のパレット。




S-6棟に来てみると、入り口にSDS-4の巨大なモザイク写真が。




寄ってみると無数の写真。一つ一つがこのプロジェクトに関係するものなんでしょうね。




さて、SITEへと戻ってきました。そろそろ見学ツアーの時間です。




建物横では何やら増設中。




中で見られたものはASTRO-H。以前来た時よりも形になっており、衛星バス部はほぼ完成しているように見えます。ミッション部はまだ非搭載で、今のところ搬入の日程は決まっていないそうです。




ツアーを案内してくれた「黒べえ」。曰く3号機だそうです。




既に12時半を回りだいぶ腹が減ってきたのでカレーを食す。良い天気なので芝生にどっかと。




S-1棟のロボット実験室。入室時にはダストを除去するエアシャワーが動作します。




この編み目の部分を踏むと、上下からシュゴーとエアが吹き出してきます。




中ではロボットアームの展示などが。「きく7号」のアームもありましたが、並ぶ列を間違えてしまい撮影できず。





スペースドーム、いわゆる展示館にやってきました!




LE-7Aは美しいのう。




人工衛星の断熱材は実際にこのようにマジックテープで貼り付けられているので手で簡単に剥がすことができます。宇宙空間では空気抵抗などは無いのでこのような固定で十分なのです。




おや、「きく8号」の横に何か…




おお、LDR(大型展開アンテナ)のモジュール! 「きく8号」の大型展開アンテナは片面だけでこれが14個連結されています。




適度にヨレているので、試験か何かに使用されたものなのでしょうか?




こちらがその受信部です。





GPM主衛星のスケールモデル





HTVブースへとやってきました。




HTV-Rスケールモデルの横に置いてある黄色い円錐は模擬体。およそ2〜3mの高さから落とす着水試験に用いられたそうです。調布ではこれとは別にHIEST(高温衝撃風洞)ナノ秒単位の気流を与え再突入時を再現する実験を行っています。




これはHTVを軌道船に応用した一案ですが、小型のHTV案が発表されていたことを思い出したので聞いてみました。有人版HTVとして考えているのは非与圧部を排除し小型化、宇宙船の総重量は約7tとほぼソユーズと同クラス。H-III(仮称)の標準構成で打ち上げられる重量で収まるよう考えているそう。
アメリカが開発中の民間宇宙船についてHTVやドラゴンと同様の方式か?と聞いてみたところ、ORIONはNASAが開発中の新型の結合機構を用いて自動ドッキングを行うプラン。





HTVのミッションロゴに用いられた配色は次の打ち上げ時に星の色になるそうです。気付かなかったw




HTV「こうのとり」4号機に搭載された表面電位センサ。これが推進モジュールの太陽電池パネルの横あたりに取り付けられました。



こうのとり」4号機のポスター。このサインはおそらく若田さんのものでしょうか?




これはHTV「こうのと」2号機に搭載されたモザイクポスターでしょうか。軌道上運用中に3.11の震災でここ筑波宇宙センターも被災しました。その時にISS滞在クルーからの申し出で折り鶴が折られ、再突入する「こうのとり」2号機に同封されました。こちらのモザイクポスターも当初の予定では「こうのとり」と一緒に燃え尽きる予定でしたが、クルーの希望でスペースシャトルにより地上に持ち帰られました。クルーからのサインも入っています。聞き忘れましたが、おそらく実物ではないかと思います。





H-IIBイプシロンのスケルトンモデル。タンク内部の構造がよく分かります。





そしてこちらは液体燃料タンクをシリンダ状に丸める前の素材。説明書きにある通り、アルミ合金板からアイソグリッド構造に削り出して作られたものです。H-IIAロケットなどのタンクはこれに断熱材が吹き付けられただけの非常に薄いものです。




こちらはH-IIA21号機で用いられたフェアリングの一部。船で回収されたものでしょうね。H-IIAフェアリングは蜂の巣状のハニカムを上下からアルミ合金板で挟み込む構造で、非常に軽く丈夫です。




こちらは月探査衛星「かぐや」の内部構造。ほぼ半分が推進剤タンクになっています。縮尺的には見たところ直径1mはありそうですね。





恒例となっていたH-II下の展示は今回はありませんでした。この人だかりは解説ツアーです。




さて、何と今回実は旧展示館にて「みどりII」のエンジニアリングモデルが公開されていたそうです! が、自分は行きそびれてしまい後になって悶絶! うーむ、今年の秋の特別公開は無いようなので、もし見られるとしたら1年後でしょうかね。





C-1棟にやってきました。大量のてるてる坊主。





「だいち2号」の寄せ書きがありましたので自分も一筆寄せさせて頂きました。




そして「だいち2号」のTwitterアカウントも開設されています。Follow Me!



GPMブースでちょっとお話。
―DPRという二周波で弱い雨から強い雨まで感度を持つのはデジタルカメラでいうHDRのようなイメージ?
似ている。厳密にはカメラと違い周波数が異なるが、レンジが広くなる。




JAXA OPEN APIを利用したアプリが出展されていました。こちらは「しずく」のデータを利用した水分量マップ。白く突き出しているのは積雪量。かなり強調されています。内部に青く突き刺しているのは染み込んだ土中水分量。ぱらぱらと降っているのは降水量を表しています。できればタイムライン表示にしたかったそうですが、今回そこまではできなかったそうです。マウスでグリグリできて面白いですねえ。こちらでWEB版を体感することができます。




こちらは球体プラネタリウムのような感じのもの。




下のプロジェクタ機から魚眼レンズを用いて球体のプラスチックに全球画像を投影できます。






例えばこのように、地球の地表面の画像や温度分布図、または木星の模様などを映し出すことができます。これは面白いなあ−。安価なキットで売り出せないかと考えているそうです。





若田船長、所を嗜む。





最後にH-IIを背に記念写真を撮って頂きました。ありがとうございます! 「みどりII」を見られなかったのは悔いが残りますが今回も楽しかったです。




のぞみに飛び乗って大阪に帰還。皆さんお疲れさまでした!!