H-IIAロケット24号機 打ち上げ後記者会見 起こし

今回もNVSさんの中継から起こさせて頂きました。ありがとうございます

第1部:談話

JAXA:「だいち2号」は初期機能確認を無事終了。
奥村理事長:衛星にとって優しい条件を提供していただいている。
文科省桜田副大臣:成功の喜びを分かち合いたい。
内閣府後藤田副大臣:我が国の宇宙開発の自立性の確保などから重要な意義を持つ。

質疑:

NHK:奥村理事長へ。だいち運用停止から3年、その間災害観測など他国に頼っていたが、自国で行う意義を
いくつかあるが、生データをダイレクト一早く把握することは重要。回帰日数を短くした。開発立案を出来るのは自国で持つ最大の意義ではないかと思う。競争力を持つ形で民間に活用してもらえるよう情報提供などを改善していきたい。


NHK:迅速な災害対応、どのようなことに繋がるか。
例えば火山の状況把握・対策、地殻変動などできるだけ早く対策できるよう国土地理院と話が進んでいる。


南日本新聞:水谷さんへ。H-IIAの連続成功で信頼性が高まっているが、国際競争力はどう高めていくか
H-IIA/Bで培ってきた安全性・信頼性を維持向上させ、高度化も視野に入れ製品としてのブラッシュアップ。新型基幹、プライムとして選定して頂いた。社内の体制を整備したので概念設計等これから取組み。挑戦し甲斐のあるターゲットを設定し取り組んでいきたい。JAXAの力も借り精一杯取り組んでいきたい。


宇宙作家クラブ:だいち2号、アビエーションウィークから画像の軍事利用の可能性などについて触れられていた。要望があればJAXAからそのような提供を行うか?
奥村:活動原点のJAXA法に規定されている通り利用は平和目的となっている。どう使われるかは政治の判断となると考えている。


―朝日:政治判断になるということか?
基本的には法によって平和利用の範囲を超えないという事が私どもの理解。
―提供官庁は防衛省も含まれるか?
関係府省の方々と相談し検討していくことになる。


―共同:競争力について。
奥村:だいち2号に関しては持てる機能を事前公開しているので多くお問い合わせを頂いている。
後藤田:宇宙平和利用・国民生活向上・国際協力の推進などの基本理念。産業政策などを総合的に機能させ社会政策と産業政策のバランスを内閣として予算獲得を含めて提案していきたい。


南日本新聞:次期基幹について。技術継承も大きな観点かと思う。今の体制に反映した点は。
水野。H-IIA/Bと平行し新型の開発に取り組む。リソース要員のウェイト付け、連携を取り技術力を繋げていきたい。若手エンジニア育成に繋げていきたい。


第2部

登壇者
ALOS-2プロマネ:鈴木
打ち上げ安全管理責任者:長尾
MHI打ち上げ執行責任者:二村


―読売:三村さんへ。ほぼスケジュール通りでミッションをこなした感想を
二村:7機打ち上げ執行責任者を担当した。最近は予定時刻に成功している。衛星を運ぶことが仕事。高い信用を得るということでは非常に意義がある。
―鈴木さん、種子島で見守るのは初めてと聞いたが、。作業手順は順調に進んでいるか。
昨夜の機体移動を一緒に歩いた。実物を見て感慨が大きかった。本日は管制室にいた。かすかに振動を感じた。リアルに打ち上げの瞬間を感じることが出来た。分離後予定通りパドル展開し電力を発生している。PALSAR-2展開は1日かかる。その後定常姿勢に入りクリティカル運用を終了する計画。


―朝日:既に確認できているのは
パドル展開と電力発生、計画通り正常に飛行しているということ。


宇宙作家クラブ:二村さんへ。高度化に向け行った試験は結果が出たか。トリクル予冷とは
長尾:JAXAとして機会を与えて頂いたので私から。トリクル予冷とは2段の長時間エンジンを止め再起動する時に液体を外に出し冷やすが、より効率的に行い打ち上げ能力を上げようという手法。4〜5時間止めた状態から起動する計画をしているのでより効率的に。
地上局でデータを取得したところまでは確認。


―秋山:鈴木さんへ。PALSAR-2の3段階展開はどのように進むか。どのような点が重要か。
鈴木:折り畳まれた5枚からなっている。衛星本体から離れ真下へ。後ろの2枚が開くのが2。前側に開き全体的に平らになるのが3段階。


NVS:二村さんへ。軌道投入精度は。
二村:ノミナル地上高633kmから1〜2kmのズレで投入。精度良く入れたと言える。
衛星側としては非常に重要で、今回は特にちょうどの時間に打ち上げたこと、正午丁度通過する軌道、太陽に対し直角になる。燃料の観点でも非常に効率的。長寿命に貢献する。非常にありがたい。


―産経:打ち上げ後の段階で意義のコメントを今一度
鈴木:3日間は飛行機でいえば離陸。待ち望むユーザーに一日も早く届けたい。
H-IIAは今年度非常に出番が多い。はやぶさ2もある。意気込みを
―二村:私の任務としては毎号機実に打ち上げるということ。目の前のことを確実に実施。


NVS:ファーストプライオリティで最初に観測したい対象は
鈴木:非常に観測モードが多い。ばらばらに行うと非効率。なるべく共通の観測を増やす。初期段階ではベースマップデータをあげて干渉差の元とする。必要分早く空得ることで災害時に対応できる。これをなるべく早く効率的に取るということ。
―だいち1号でのデータは干渉SARに反映できるか。
鈴木:同じ所から同じ角度で取るのが基本。軌道高度や回帰日数が異なるが偶然一致することはある。合えば干渉することは出来る。


―共同:鈴木さんへ。基本データを集めるということは全国くまなくということか、場所を絞って行うか。
鈴木:日本国内についてはくまなく。全ての観測モード・入射角となると何年もかかるので基本モードで。海外はよく使うモードに絞って全球観測を。
―日本国内は基礎的なデータにどのくらいの期間を見込むか。
鈴木:72時間以内を目標に干渉SARのペアを。必要なもの全部となると観測開始から1年。モードを限定すると最初の3ヶ月で基本的なセットは作れるのでは。


―:海面の油を観測できるとのことだが、海底の金属資源などは
鈴木:海底からわき上がる油を観測できる。荒さなどが変わるのでこれを検出。あくまで海面を観測するので海底を観測するのは不可能。


NVS:鈴木さんへ。管制室にだるまが。目はいつ入れるか。発案者は?
鈴木:発案者はデータ解析チーム。左目は私も半分ぬらせて頂いた。残り半分はこれから。

第3部 小型副衛星

登壇者
日本大学大学院・三田
北海道大学大学院理学院教授・高橋
和歌山大学宇宙教育研究所所長・秋山
株式会社AESアドバンスドテストデビジョンディレクター・松本
JAXA研究開発本部研究推進部次長・渡戸


渡戸:4機の超小型衛星の状況。雷神2は搭載カメラより分離確認。1時40分の第1回のパスで東北大で受信成功。和歌山大UNIFORM-1もカメラで確認。同じく和歌山大学で受信。AESのソクラテスもカメラで確認、受信成功。日本大学SPROUTは分離方向が異なるためカメラでの確認はしていないが国内外のアマチュア無線局から受信を確認。日本大学でも受信。4機全て順調。


日本大学・三田:SPROUTのミッションは20cm立方の衛星から40cmの三角形のインフレータブルチューブと複合膜面構造物の展開を来年1月に行う世界初の実証。複合膜面構造物の展開により太陽光発電衛星やソーラーセイルに使えることを証明。スペースデブリ対策。展開しなければ20年、展開して4年前後で落下。軌道降下を確認。13時40分にも日大局で受信している。23時ごろのパスでアップリンクを試みる。


北海道大学・RISING-2は高橋:東北大学がセンサを開発、北海道大学が衛星バスを開発。ほぼ同額予算をかけている。1号機は2009年だが不具合で観測前に通信が一方的になってしまった。そのリベンジ。スプライトの観測。新たに望遠鏡のミッション。解像度5m。液晶フィルタを搭載し衛星の姿勢制御を組み合わせ世界最高の空間解像度達成を目指す。将来的には50機ほどの国際協同を目指す。開発途上国から支持。


和歌山大学・秋山:UNIFORMは文科省直轄のプロジェクト。1号機はそのシリーズ1機目。プロジェクト全体としてはその前にRAIKOがある。UNIFORMプロジェクトは宇宙実利用推進として文科省は何が出来るかを考え、開発ではなく運用を各国と行うことを目指す。1号機は可視カメラに加え熱赤外カメラを積んでいる。森林火災などの早期検出。衛星製造は東大や技術組合。現在テレメトリ受信、ダミーコマンド送信まで完了。


AES松本:人工衛生試験やハンドリング試験。ソクラテスは標準バス実証や要素技術軌道上実証の提供など。ノルウェーの局で受信。ダミーコマンド送信まで完了。


質疑


―共同:高橋さんへ。2009年のリベンジとのことだがご感想を。
高橋2009年もここまではうまくいっていた。ここから色々トラブルが発生してしまったのでここからが勝負。気を引き締めていきたい。


NHK:渡戸さんへ。有償開始で無償参入など
有償枠で入りにくさはあるだろうが、有償枠で大学が参加することも可能かと。ある意味機会が増えていくのではと期待。


―読売:高橋さんへ。改善した点などは・
高橋:ほぼ掴んでいる。パネルに対する太陽光が進展物で隠れたことによる電圧低下が引き金と考えている。細心の注意を払い開発した。


NVS:三田さんへ。インフレータブル展開物があるが、軌道は長寿命。何年ぐらいを考えているか。
三田:来年1月を予定。85%展開で4年で軌道降下。
―展開してからも3軸制御を?
三田:展開前後でどう変わるかを確認。


日本大学新聞:SPROUTは学生が多く関わっているが、心境を
三田:電波が受信できてほっとしている。これからが勝負とドキドキしている。


―:松本さんへ。この衛星バスでビジネス展開していくという考えか。
松本:そうだ。現在のところ次号機の開発はまだだがいくつか話しは頂いている、まずソクラテスの運用を成功させていきたい。
―有償相乗りも視野に入れているか。
松本:ミッション内容にもよるが視野に入れるべきと考えている。


―日本放送:パネルに太陽光が当たっていなかったことの改善、角度を変えるなど?
高橋:今回は進展物は無いので原理的に起こらない。前回はマストの太さが隠してしまった。


―読売:AES松本さんへ。標準バス実証、今回は実際にミッション機器を搭載しているか?
松本:1つはJAXA開発のメサという観測センサ、もう1つはNICT開発の先進的な光学センサ。これから機能確認。


NVS日本大学三田さんへ。火工品ではなくスプリングでの分離機構だが理由は
三田:10cm立方の分離機構が使えないということもあったが、多種多様な衛星に対応できるよう自作した。


NVSJAXA渡戸さんへ。ウクライナの小型衛星打ち上げなどあったが、情勢的に難しいと言われている。JAXAMHIのH-IIでもっと引き入れる意向はあるか。
渡戸:どの程度需要があるか十分把握できていない。今回有償を始めたがこれを実際調べたいと言うこともある。
―60cm角などに対応するか?
渡戸:需要があれば今後考えていくことになる
―ワンパスで確認できた感想は
渡戸:大変開発に苦労してきたことかと思うが、我々としても安心している。


共同:有償の関係で大学だと負担が増す。どういうアプローチを考えているか。
渡戸:こちらからあまり言うことでは無いと思うが、無償は提案内容を評価し選ぶというプロセスだった。有償だと契約で必ず機会を得られる。たとえば定期的な打ち上げで教育コース的な使い方など。


―産経:所定の軌道に乗っているかどうか
渡戸:今のところ所定の軌道に乗っていると理解している。


―秋山:三田さんへ。膜面展開は今年末にも欧州でも計画されているが違いなどは。今回の膜面展開はスペースデブリ対策する世界初の衛星と表現していいか。
三田:インフレータブルチューブに付随する膜面展開という意味で世界初。展開挙動を含め、軌道降下でデブリ対策を証明しようと思っている。インフレータブル展開に付随する形で膜面展開するのが特徴。


―大塚:渡戸さんへ。2700万などと書かれていたが、どう決定したか。コストの相場か。
渡戸:これまでの経費を考え、試験・人件費など実費相当と算出している。世界市場との確認もしている。
―ユーザーへのヒアリングなどは
渡戸:していない。


以上