視点: 軍事法制なき派遣に 軽装で冬山登る危うさ

自衛隊を軍隊でないとする憲法解釈は詭弁(きべん)だ、との批判は根強いが、法的には間違いなく自衛隊は軍隊ではない。そのことの重みを、非戦を貫いてきた戦後の歴史と共に改めてかみしめるべきではないか。めったなことで戦えぬ以上、外交に全力を傾注し、自らテロの標的とされるようなまねをしないよう軍隊がある国々以上に留意すべきことも言うまでもない。

万一の非常事態において自動的に対応できない、その場合一番被害を被るのは非武装の民間人。

復興支援とはいえ、紛争地に軍隊でない自衛隊を派遣することは、土台無理ではなかったか。防衛庁は派遣に先立って「交戦規定(ROE)」を策定し、武器使用基準を事実上緩和した。警察部隊に護衛を頼む話まで出た92年のカンボジアへのPKO(平和維持活動)派遣当時とは事情が違うというが、自衛隊員による殺傷行為が犯罪に問われる基本構造に変わりはない。自爆寸前のテロリストを発見しても、正当防衛となるように口頭で警告し、威嚇射撃を経て射撃しろ、というような状態では、派遣される自衛隊員も気の毒だ。

自分も済し崩しに既成事実化するのは好ましくないと思います。 現時点で有事が発生すれば足回りが不十分な現状で真っ先に犠牲になるのは隊員であり、またそれによって法制化も大幅に後退しかねません。 やはり相応の立場を用意した上で動員させるべきだったと思うのですが、諸々の情勢・タイミングがそれを許さなかったと言えます。
自衛隊を国軍化することでますます対米追従が度を増すとの言い方も耳にしますが、自衛隊派遣は言わば日米安保に基づいた建前であり、自分はむしろ軍事的依存性を緩和するためにも国軍化は必要であると考えます。


(徴兵制禁止云々にしてもそう。 軍人はもはや専門職であり、わざわざ素人を掻き集める必要無いんですよね。 それをあえて改憲草案に盛り込むのをパフォーマンスと言うならそれでもいいんですけれど、今まで散々「改憲で徴兵制復活→それは有り得ませんから残念」の不毛な応酬を見てきた自分としてはパフォーマンス大いに結構と思うんですが。 危険性で言えば消防隊や警官などの方がより恒常的かつ直接的ですしね。 外交努力は惜しむべくもありませんが、それが破綻した時の事をも想定しなければ責任を果たしているとは言えません。 まあ元から破綻している国を相手にする場合もありますが)