月周回衛星「かぐや(SELENE)」のクリティカルフェーズの終了について [JAXA]

軌道変更を終えてリアクションホイールによる三軸姿勢制御に移行し、センサ部を月面に向けたまま軌道を周回する運用が始まりました。

宇宙航空研究開発機構JAXA)は、平成19年9月14日(日本時間)に種子島宇宙センターから打ち上げられた月周回衛星「かぐや(SELENE)」の主衛星を所定の軌道に投入するとともに定常制御モード移行運用を行いました。
なお、主衛星及び2つの子衛星の状態は正常です。
これにより月周回衛星「かぐや(SELENE)」の運用は、クリティカルフェーズを終了し、初期機能確認フェーズへ移行します。

初期機能確認フェーズでは搭載機器の機能確認を12月中旬頃まで行い、その後、定常観測に移行する予定です。

今回の「かぐや(SELENE)」の打上げ及び追跡管制にご協力頂きました関係各方面に深甚な謝意を表します。

全てにおいて極めて順調のようです。 クリティカルフェーズは終わりましたが、これからは14もの観測機器の立ち上げがあり、特に電圧の高いセンサは慎重に通電が行われるようなのでまだまだ気が抜けませんが、ひとまずおめでとうございます!
そしてこの記事の下の方にさりげなく追加されている「月周回衛星「かぐや(SELENE)」搭載のモニターカメラによる月撮影画像について」を開くと、なんと月面画像が山盛りであります! これはまた素晴らしい。

かぐや、観測軌道に到達、定常制御モードに入る 午前10時半からの記者会見 [松浦晋也のL/D]

不明:クリティカルフェーズ終了の日付はいつか。搭載機器の確認はどんな順番で行うのか。

滝澤:定常制御モードに19日に入れ、20日にきちんと定常制御モードに入れたことを確認した。

佐々木:今後のスケジュールは、まずはバス系のチェックアウトを行う。冗長系のチェック。
観測系では、最初に磁気センサーのマスト伸展、レーダーサウンダーのアンテナの展開、超高層大気プラズマイメージャー(UPI)のを搭載したジンバル機構の立ち上げを行う。

次に14の観測機器の低電圧系の立ち上げを行う。これが終わるのが11月半ばまでに。
最後に、高電圧系を少しずつ電圧を上げていくという方法で1ヶ月かけて立ち上げていく。

ただしこれは予定であり、動く可能性はある。

この辺はデリケートな作業のようですね。
また、80km×120kmという投入軌道についても解説されています。

フリーランス青木 かぐやと子衛星の軌道について。現在かぐやは80×120kmの軌道に入っているがこれは100km円軌道に近づけるのか。子衛星はねらった軌道に入ったのか。

滝澤:結論から言うと現在の軌道はねらったとおりの軌道である。100kmの円軌道に対して月の重力場のひずみで高度は変動する。かぐやの観測軌道は30km程度の誤差を許容している。現在の軌道は誤差の範囲内。
今後月の重力場のひずみの影響で、だんだん100kmの円軌道に近づき、やがて近地点と遠地点が入れ替わり、まだ軌道が楕円へとなっていく。その誤差が30kmぐらいになったらスラスターを噴射して軌道制御を行う。

重力場のひずみによる軌道偏移を計算に入れた投入軌道だそうで、許容範囲内とのこと。 なるほど。 推進剤の残量も、正確な軌道投入が行われたおかげで途中何度か誤差修正マヌーバを省略したりしましたから、結構余裕が出来ているそうです。 いやあ、ここまではパーフェクト以上ですね。 スゲエー