「国際舞台での日本の活躍に期待」 NASAジェット推進研究所(JPL)所長 チャールズ・エラチ [JAXA]

様々な名探査機を輩出したJPLの所長へのインタビュー記事ですよ。

Q. エラチ博士はJAXA宇宙科学研究本部の外部評価委員会のメンバーですが、昨年の評価委員会ではどのような印象をお持ちになりましたか? 最も印象に残っている日本の宇宙科学ミッションは何ですか?

外部評価委員会では、JAXAのさまざまな宇宙科学プログラムやそのプログラムを実行する際の取り組み方について評価を行いますが、私は宇宙科学研究本部ISAS)の努力に強い感銘を覚えました。特定のミッションというよりは、ISASが行っている惑星、天体物理学、宇宙物理学といった多岐にわたる活動や、科学者や技術者、そして彼らと研究を行っている学生たちの連携といったものが特に印象に残りました。それは、私にジェット推進研究所(JPL)の初期の頃を思い出させます。ISASJPLよりも小規模ではありますが、宇宙探査の第一歩を見事に踏み出しているという印象を受けました。

Q. JAXAは海外でどのような点が評価されていますか?

近年、JAXA小惑星探査機「はやぶさ」による小惑星とのランデブー、着陸に成功しましたが、それはとても挑戦的なミッションでした。同じようなミッションをアメリカが行ったとしても、それは大きなチャレンジとなるでしょう。このような小惑星の探査や、現在月を周回している探査機「かぐや」による観測成果などから、日本が国際的にも惑星探査の分野でリーダーシップを発揮していることが見て取れます。
また、JAXAは惑星探査の分野だけではなく、地球科学の分野など多くのプログラムで国際的な活動を行っています。 これまでJPLは、日本の衛星を使った地球観測ミッションに数多く参加してきました。その一方で、日本の科学者も私たちのミッションに参加してきたわけですが、このような国際共同プロジェクトを通じて、科学的な関係だけでなく、強固な人間関係を築くことができました。国際的な関係を構築することは、宇宙科学の研究や探査を行っていくうえで非常に重要なことですが、JAXAはこの点で世界的にも高く評価されています。

Q. 今後、日本と国際協力したいミッションは何でしょうか?

最近の小惑星探査機「はやぶさ」の成果からも、日本は小惑星とのランデブーとサンプル採集に関しての技術を構築してきたことが分かります。将来的には、小惑星や彗星の研究、そのような小天体とのランデブーやサンプル採取など広範囲に渡るミッションを、日本と協力して進めていきたいと思います。こういった研究によって太陽系の多様性を理解することができますので、実現するのを非常に楽しみにしています。
さらに、私たちは地球の温暖化など、人類にかかわる問題を共有しているわけですから、地球科学の分野でも協力していくべきだと考えています。国民の税金を使った公共政策に従事する私たちが、地球がかかえる問題にどう対処していくかを決断するためには、地球に起こっている変化を観察するネットワークを構築していく必要があると思います。そのためには、宇宙開発で中心的な役割を担っている各国がすべて参加し、協力していかなければなりません。

ISASの探査ミッションや地球観測ミッションが評価されている模様。 特に「はやぶさ」などの惑星間探査が具体的に挙げられていますね。 先日の会合でもNASAはかなり気合入れて人員を送りこんできていたようですし、実際関心が高いようですね。